11月8日、アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフの戦略的に重要な町、シュシャをアルメニア軍から奪取したと発表した。
アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領はテレビ演説の中で、「シュシャは私たちのもの、ナゴルノ・カラバフは私たちのものだ」と語った。
これに対しアルメニア国防省の報道官はフェイスブックにコメントを投稿、シュシャでの戦いは続いていると主張した。
ナゴルノ・カラバフ(アルツァフ共和国)は、公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている。
シュシャは、ナゴルノ・カラバフの首都ステパナケルトの丘の上、首都とアルメニア領土を結ぶ町。アゼルバイジャン軍はその町を抑え、ナゴルノ・カラバフとアルメニア領土のルートを断った。
アリエフ大統領はシュシャの解放を「歴史に残る偉業」と呼んだ。
アリエフ大統領のテレビ演説後、人々は首都バクーの街路に集まり、軍の功績を称えた。
Azerbaijanis are celebrating in Baku pic.twitter.com/TXLhgL5io0
— Ali Özkök (@Ozkok_A) November 8, 2020
かつてシュシャで生活していた数十万のアゼルバイジャン人は、1988年に発生した紛争で非難を余儀なくされた。
一方、この町にはアルメニア使徒教会の象徴的な存在、救世主大聖堂があり、アルメニア人の文化と宗教に欠かせない町と言われている。
9月末に再燃した戦闘の正確な死者数は分かっていない。ナゴルノ・カラバフの自称当局は、防衛軍の兵士1,200人以上が死亡し、民間人も複数殺害されたと主張している。
アゼルバイジャンの同盟国、トルコのタイイップ・エルドアン大統領はシュシャの奪取について、「占領都市とナゴルノ・カラバフを段階的に開放したアゼルバイジャン兄弟の喜びは私たちの喜びだ」と語った。
トルコはアゼルバイジャン軍にドローンや長距離ミサイルなどを提供している。
7日に発表されたロシアの声明によると、ウラジミール・プーチン大統領はエルドアン大統領に、「敵対行為の迅速な停止と政治的および外交的解決策を見つけることに焦点を当てる」と伝えたという。
紛争仲介にあたる欧州安全保障協力機構(OSCE)ミンスク・グループを率いるアメリカ、ロシア、フランスは何度も停戦交渉を試みているが、いずれも失敗に終わっている。
ナゴルノ・カラバフについて知っておくべきこと
・2020年11月、中東の過激派勢力2,000人が紛争に加わったと伝えられている。アルメニアはアゼルバイジャンの同盟国、トルコが関与したと非難。
・2020年10月28日、アゼルバイジャンのバルダ県への空爆(クラスター爆弾)で民間人21人が死亡。
・2020年10月25日、アメリカの仲介による停戦合意が破綻。戦闘再開。
・2020年10月25日、アメリカの仲介でアルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意。
・ロシアのプーチン大統領によると、9月末からの戦闘で少なくとも5,000人が死亡。.
・2020年10月17日。10月9日の停戦合意は破綻し、民間人13人が死亡、40人以上が負傷した。
・約4,400平方キロメートルの山岳地帯。
・キリスト教のアルメニア人とイスラム教徒のトルコ人が生活していた。
・ソビエト連邦時代、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの自治区に加えられた。
・公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている。
・現在、ナゴルノ・カラバフは分離主義勢力(自称当局)に占領されている。
・ナゴルノ・カラバフの大統領(自称)はアライク・ハルチュニヤン。
・自称当局は、アルメニアを含む全ての国連加盟国に認められていない。
・1988年から1994年の紛争で約3万人が死亡、推定100万人が避難を余儀なくされた。
・1994年の停戦合意後も膠着状態は続いていた。
・アルメニアは分離主義勢力(自称当局)を認めていない。
・アゼルバイジャンは「分離主義勢力=アルメニア軍」と認識している。
・トルコはアゼルバイジャンを積極的に支援している。
・ロシアはアルメニアに軍事基地を持っている。