ドイツ、米国製長距離ミサイル「トマホーク」導入へ
欧州の安全保障環境が大きく変化する中、ドイツが長距離攻撃能力を強化することで、ロシアへの抑止力を高める狙いがある。
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ドイツのメルツ(Friedrich Merz)首相は9日、米国製の長距離巡航ミサイル「トマホーク」を購入することでトランプ政権と合意したと明らかにした。欧州の安全保障環境が大きく変化する中、ドイツが長距離攻撃能力を強化することで、ロシアへの抑止力を高める狙いがある。今回の決定はウクライナ戦争の長期化や米国による欧州防衛への関与を巡る不安を背景に、ドイツが軍事力強化へ踏み出す動きの一環となる。
メルツ氏は議会演説で、トランプ(Donald Trump)米大統領との会談後、トマホークの取得に向けた協議で前進したと説明した。これは従来のドイツ軍の装備では届かなかった長距離目標への攻撃能力を持つ。射程は種類によって異なるが、最大で1600キロ以上に及び、欧州域内から遠距離の軍事施設などを標的にできる。
ドイツは長年、第2次世界大戦の反省から軍事力の拡大に慎重な姿勢を取ってきた。しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を契機に、安全保障政策を大きく転換した。ショルツ前政権は「時代の転換」と位置付け、防衛費増額や軍備近代化を推進してきた。メルツ政権もこの方針を引き継ぎ、欧州最大級の経済国として防衛面での役割を強めようとしている。
今回のトマホーク導入は北大西洋条約機構(NATO)全体の防衛能力強化にもつながるとみられる。特に、ロシアが欧州周辺でミサイル能力を増強する中、NATO加盟国が長距離攻撃能力を保有することは、軍事的な均衡を維持する上で重要な意味を持つ。
一方で、ロシア側はこうした動きを警戒している。ドイツによる長距離兵器の配備は、欧州の軍事緊張を高める可能性があり、ロシア政府が反発することも予想される。またドイツ国内でも、こうした兵器の保有が外交的な緊張を高めるとの懸念が出る可能性がある。
ドイツは現在、米国製兵器への依存を強めながら、自国の防衛産業の強化も進めている。トマホーク導入は単なる兵器購入にとどまらず、欧州の安全保障におけるドイツの役割拡大を象徴する動きとなる。
ウクライナ戦争が続く中、欧州各国は防衛政策の見直しを迫られている。ドイツの今回の決定は戦後の軍事抑制路線から、より積極的な防衛政策へ移行する大きな節目となる可能性がある。
