◎極右政党「イタリアの同胞」は2012年に創設され、独裁者ムッソリーニのファシズムから生まれたイタリア社会運動(MSI)をルーツとする。
2022年9月11日/イタリア、極右政党「イタリアの同胞」のメローニ(Giorgia Meloni)党首(Getty Images/AFP通信)

イタリア極右政党「イタリアの同胞」は20日、ソーシャルメディアで独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)を称賛した候補者の党資格をはく奪したと発表した。

ドラギ(Mario Draghi)首相の辞任に伴う解散総選挙は9月25日に投開票を予定している。

シチリア島で立候補したピサーノ(Calogero Pisano)候補は2014年、フェイスブックの投稿でイタリアの同胞のメローニ(Giorgia Meloni)党首を「70年前の偉大な政治家」になぞらえていた。

ピサーニ氏は投稿の中で、「ムッソリーニ(Benito Mussolini)ではなく、ドイツ人を指している」と述べていた。

イタリアの同胞は声明で、「ピサーノ氏は同党の候補でも関係者でもない」と述べ、党資格をはく奪したと明らかにした。

同党は独裁者ムッソリーニを称賛するファシズム運動をルーツとするが、最近は過激な思想から距離を置いているようにみえる。

メローニ氏は、「イタリアの同胞が政権をとっても、民主主義は脅かされない」と主張し、左派から指摘されている「ネオ・ファシズムへの回帰」という批判を否定している。

最新の世論調査によると、イタリアの同胞は第1党に躍進する可能性が極めて高い。同党は減税と移民排除を公約に掲げ、無党派層の支持を集めているようだ。

一方、国営イタリア放送協会(RAI)によると、ピサーノ氏はロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領への支持も表明していたという。

RAIは首都ローマのユダヤ人協会の声明を引用し、「ヒトラーを称賛する者が国会議員に選ばれるなどあってはならず、到底受け入れられない」と報じている。

イタリアの同胞は2012年に創設され、ムッソリーニのファシズムから生まれたイタリア社会運動(MSI)をルーツとする。そのロゴマークである三色旗は「ムッソリーニの墓で燃え盛る炎」と見なされている。

メローニ氏は「神・祖国・家族」という物議をかもす古臭いモットーを掲げ、減税と大統領の一般投票による選出を望んでいる。

また同氏はLGBTQ+(性的少数者)の権利保護に反対し、シチリア島やランペドゥーザ島などの海上封鎖を望み、イスラム教徒の移民に対して繰り返し警告を発している。「イタリアから去りなさい!」

メローニ氏は「ムッソリーニの後継者」「ファシスト」という批判を強く否定し、「自分が党首になっても民主主義は維持される」と主張している。

イタリアの同胞は2018年の議会選で5%ほどしか票を獲得できなかったが、第1党に躍進すると予想されている。他の右派政党も票を伸ばす可能性が高く、最新の世論調査は極右が過半数を占めると示唆している。

ドイツのショルツ(Olaf Scholz)首相は18日、この総選挙で極右が勝利すれば、欧州とイタリアは危機に直面すると警告した。

アドルフ・ヒトラー(Getty-Images/AFP通信)
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