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イランの人権活動家モハンマディ氏の健康状態悪化、ノーベル委員会が懸念表明

モハンマディ氏は2023年にノーベル平和賞を受賞した人権活動家、女性の権利擁護や死刑廃止運動で知られる。
イラン、ノーベル平和賞を受賞した女性人権活動家のナルゲス・モハンマディ氏(AP通信)

イランで収監中のノーベル平和賞受賞者モハンマディ(Narges Mohammadi)氏の健康状態が悪化し、国際社会の懸念が強まっている。ノルウェーのノーベル委員会は2日、「彼女の命はイラン当局の手に委ねられている」と述べ、早期の釈放と適切な医療対応を求めた。

モハンマディ氏は2023年にノーベル平和賞を受賞した人権活動家、女性の権利擁護や死刑廃止運動で知られる。現在はイラン北西部の刑務所に収監されているが、5月1日に心臓発作を起こし、緊急搬送された。家族が運営する財団によると、意識喪失を伴う発作が複数回発生し、「壊滅的な健康悪化」と表現される状態に陥ったという。

発症前には高血圧や吐き気が続き、刑務所内で十分な治療を受けられなかったとされる。症状が深刻化した後、ようやく病院への移送が決定したが、家族側は「対応が遅すぎた」と強い危機感を示している。

ノーベル委員会のフリードネス(Jørgen Watne Frydnes)委員長はモハンマディ氏の容体について深刻な表明し、イラン政府に対して人道的観点からの即時釈放を求めた。委員会は以前から彼女の拘束を問題視しており、今回の事態はその懸念を一層強めるものとなった。

モハンマディ氏はこれまでも複数回投獄され、2025年12月に再び拘束された後、7年半の禁固刑を言い渡されている。長年にわたる拘束生活の中で健康状態が悪化し、過去にも心臓疾患や手術歴が報告されている。

今回の入院をめぐっては、国際人権団体や支援者からも批判が相次いでいる。医療専門家は、刑務所内では高度な心臓治療が困難であり、専門施設での継続的な治療が不可欠だと指摘する。家族や支援団体も首都テヘランの医療機関への移送を求めているが、実現の見通しは不透明である。

イラン当局はこれまで、モハンマディ氏の活動を国家安全保障に対する脅威と位置づけ、厳しい姿勢を崩していない。一方で、今回の健康危機は国際的な圧力を強める要因となり、人権問題としての関心も再び高まっている。

専門家は彼女の容体が今後の外交関係や人権問題をめぐる議論にも影響を与える可能性があると指摘する。モハンマディ氏の処遇はイランの司法制度や人権状況を象徴するケースとみなされており、その行方は国際社会の注目を集めている。

現在も容体は不安定とされ、適切な治療が継続的に提供されるかどうかが焦点となっている。ノーベル委員会が指摘した通り、彼女の命運はイラン当局の判断に大きく左右される状況にある。

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