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トランプEU自動車関税引き上げ、ドイツ経済に打撃=試算

今回の関税措置は米国が欧州連合(EU)から輸入する自動車およびトラックに対する関税を、従来の15%から25%へ引き上げるという内容である。
メルセデス・ベンツのイメージ(Mercedes-Benz of Tyler)

トランプ(Donald Trump)大統領が発表した対EU自動車関税の引き上げは、ドイツ経済に深刻な打撃を与える可能性がある。ドイツのシンクタンク「キール世界経済研究所(IfW)」は2日、この措置によってドイツの経済生産が短期的に約150億ユーロ(約2.75兆円)失われる可能性があるとする分析結果を公表した。

今回の関税措置は米国が欧州連合(EU)から輸入する自動車およびトラックに対する関税を、従来の15%から25%へ引き上げるという内容である。トランプ氏はEUが既存の通商合意を十分に履行していないと主張し、是正措置として税率引き上げを正当化した。これに対しEU側は反発し、貿易摩擦の再燃が懸念されている。

IfWの分析では、この関税強化はドイツ経済に大きな影響を与える。ドイツはEU最大の自動車輸出国であり、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMWといった大手メーカーを中心に、米国市場への依存度が高い。IfWは今回の引き上げによりドイツの自動車産業の輸出競争力が低下し、関連産業を含めた生産減少が広がると指摘している。

さらにIfWは、中長期的には損失が拡大し、ドイツ経済全体で最大300億ユーロ規模の生産減少につながる可能性もあると試算している。これは単なる輸出減少にとどまらず、部品供給網や雇用、投資意欲にも影響を及ぼす波及効果を含んだ数字である。

ドイツ経済はすでに成長鈍化に直面しており、2026年の実質成長率は0.8%程度にとどまるとの見通しが示されている。そのため今回の関税強化は、景気回復をさらに遅らせる要因になる可能性がある。また、自動車産業への依存度が高いイタリア、スロバキア、スウェーデンなどにも悪影響が及ぶとみられ、欧州全体の産業構造への影響も無視できない状況となっている。

一方で、ドイツ政府関係者の一部からは、過度な反応を避けるべきだとの慎重論も出ている。トランプ氏は過去にも関税措置を予告した後に撤回や修正を行ったことがあり、今回の措置についても不確実性が高いと見る向きがある。また、法的根拠や通商協定との整合性についても議論が残されている。

今回の関税強化は米欧間の貿易関係に新たな緊張をもたらす可能性が高い。特に自動車産業は両地域の経済をつなぐ重要な分野であり、その影響は単なる関税問題にとどまらず、雇用や技術競争、サプライチェーン全体に広がるとみられている。今後、EU側の対応や交渉の進展次第で、経済的影響の規模はさらに変動する可能性がある。

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