◎反対派は議場から退場する際、「恥知らず」「破壊政府」などと叫んだ。
2023年7月24日/イスラエル、エルサレムの国会、ネタニヤフ首相(中央)と議員たち(AP通信)

イスラエル国会(一院制、定数120)は24日、ネタニヤフ政権が推し進める司法制度改革案を賛成多数で可決した。

これにより、国会は過半数の賛成で最高裁の判決を覆せるようになる予定だ。

ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相と連立を組む超国家主義政党は「選挙で選ばれたわけでもない司法に過剰な権限を与えている」と主張し、法案の速やかな成立を呼びかけていた。

全国各地で抗議デモを展開する反対派は法案が民主主義の根幹を脅かすと非難。賛成派は選挙で選ばれた国会議員の決定を裁判所が覆せることに反対してきた。

法案に反対する野党議員たちは採決前に議場を飛び出し、その結果、法案は賛成64ー反対0で可決された。

反対派は議場から退場する際、「恥知らず」「破壊政府」などと叫んだ。

ラピド(Yair Lapid)前首相は記者団に対し、「この極端な政府は我々が民主国家でなくなった瞬間を祝うために、国会で喜び、抱き合っている」と語った。「世界はこのとんでもない決定を非難すべきです...」

またラピド氏はネタニヤフ氏を「過激派の操り人形」と断じた。

エルサレムの国会前には数千人の抗議者が集まり、法案を破り捨てるよう訴えた。AP通信によると、機動隊は国会議事堂に近づいたデモ参加者を放水砲で追い払ったという。

機動隊は暴徒化した市民数人を現行犯逮捕したと伝えられている。

反アラブ・反パレスチナを推進する超国家主義政党「ユダヤの家」のベン・グヴィル(Itamar Ben Gvir)治安相は24日、「民主的な選挙で選ばれた政府を転覆させようとする者たちが国会に攻撃を仕掛けたようだ」と非難した。

この司法制度改革案はイスラエルを建国史上最悪の国内危機に陥れ、分断を煽り、新たな亀裂を生じさせた。

首都テルアビブなどでは昨年末から抗議デモが続いている。

ラピド氏は声明の中で、「民主国家のイスラエル(の野党)は同盟国から幅広いコンセンサスを得るために、できる限りのことをするつもりだ」と述べている。

ネタニヤフ氏はペースメーカーを装着するために市内の病院に2日間入院した後、24日に退院。法案採決を迎えた。

イスラエルの最重要同盟国である米国のバイデン(Joe Biden)大統領は23日、ネタニヤフ氏に法案の採決を急がないよう呼びかけ、「分断は回復するどころか、ますますひどくなっている」と深刻な懸念を表明した。

またバイデン氏は「イスラエルが現在直面している問題や脅威を考えると、採決を急ぐべきではない」と強調した。

両首脳は採決が延期された今年3月に電話会談を行い、この問題について話し合っていた。

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