◎最高指導者のハメネイ師は米国とイスラエルが暴動に関与していると主張している。
イランのデモ隊は15日、首都テヘランなどの主要都市で集会を開き、指導部に抗議した。
テヘランでクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。デモは5週目に突入した。
北西部アルダビル州の市街地に集まった人々は「独裁者を倒せ」と唱え、行進した。
ソーシャルメディアに投稿された動画によると、テヘラン、ケルマンシャー、ラシュトの大学では学生が集会を開催したという。
北部のクルド人居住地域では暴動も報告された。サナンダジでは女子学生が中心街で「女性・生命・自由」と唱え、指導部に退陣を要求した。
アミニさんは先月13日、テヘランを訪問中にヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。
政府はこの事件を「不幸な事故」と呼んでいるが、西側諸国とアムネスティ・インターナショナルなどの人権団体はこの主張を却下している。
米国に拠点を置く人権監視団体HRANAによると、9月17日のデモ開始以来、少なくとも233人のデモ参加者が治安部隊に殺害され、そのうち32人が18歳未満だったという。
ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)は201人が殺害されたと報告している。
最高指導者のハメネイ(Ali Khamenei)師は米国とイスラエルが暴動に関与していると主張し、治安部隊に取り締まりを強化するよう命じた。
今回のデモには女性だけでなく多くの男性も参加し、最高指導者に全権力を集中させる体制に異議を唱え始めている。
女性たちはアミニさんとの連帯を示すために着用を義務付けられているヒジャブを外すようになった。石油産業の労働者もデモに参加するようにようになり、少なくとも19の都市で2009年の「グリーン・ムーブメント」以来の大規模なデモが行われている。
アミニさんの故郷であり抗議デモの震源地であるクルド人居住地域の主要都市では商業ストライキも始まった。
SNSに投稿された動画などによると、治安部隊は残忍な取り締まりを行い、活動家や抗議デモの主催者を逮捕し、支持を表明した著名人を叱責し、パスポートを押収し、実弾、催涙ガス、音響爆弾などを使用して群衆を分散させ、市民を殺害している。
北部ゴハルダシュトで撮影されたとみられる動画には、私服警察官がデモに参加した女性を無理やり車に乗せるところが写っていた。
米国の非営利団体ジャーナリスト保護委員会によると、イラン当局はデモ開始以来、少なくとも40人のジャーナリストを拘束したという。