さよならコロナ、さよならパンデミック

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、パンデミック終焉への道のりはあまりに遠いと警告した。さらに、ゴールは近づくどころかどんどん遠ざかっていると表現し、アメリカやラテンアメリカの感染拡大を一刻も早く食い止めねばならないと述べた。

一方、迅速なロックダウンによって感染拡大を抑えこんだチェコ共和国では、パンデミックとコロナウイルスの「送別会」を開催、数千人規模の大規模な催しは街を大いに盛り上げた。

6月30日、数千人のゲストが首都プラハのカレル橋付近に集合。道路を封鎖し、500m超のエリアにテーブルと椅子を設置した。食事や酒は自宅から持ち寄ることになっており、皆思い思いの料理を持参、ワインやシャンパン、ウイスキーが盛大にふるまわれた

ゲストはコロナウイルスとの別れを喜び、社会的距離のルールなどは一切考慮せず飲み食いすることを許可された。人々はロックダウンの憂さをさらすように騒ぎ、パフォーマーたちのイベントやコンサートを楽しんだ。

送別会が盛り上がるにつれ、椅子に座る人より立ち見客が増えた。大道芸人に声援を送る者、友人たちと談笑する者、地元ミュージシャンの演奏に聞き入る者、数百人規模の一気飲み大会を開催し、皆で楽しみを共有する者など、カレル橋一帯はこの日世界一盛り上がった。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、チェコ共和国(人口1,000万人)の累計感染者数は11,954人、349人の死亡が確認されている。他の欧州諸国に比べると、ロックダウンおよび徹底した感染予防対策が功を奏し、ウイルスの鎮圧に成功。WHOも同国の対応を称賛した。

グッバイコロナウイルスパーティの主催者を務めるオンドレイ・コブザ氏はAFP通信の取材に対し、「観光都市プラハに観光客がいないおかげでこの催しを開催できた、街は大いに盛り上げり、皆でコロナウイルスとパンデミックに別れを告げた。隣人からサンドイッチを貰おうと思ったが、ワインを奪われたよ」と上機嫌で語った。

送別会に参加したガリーナ・クホムチェンコ・クレジシコバ氏はBBCの取材に対し、「Facebookでイベント開催を知り、大急ぎで駆け付けた。私はちょうど夜勤を終えたところで、料理を作る暇はなかったが、ワインとスナックを持参した。皆と着の身着のまま談笑することは本当に楽しい」と述べた。

チェコ共和国が迅速なロックダウンによりパンデミックを最小限に抑えたことは既に述べた通りである。欧州最高レベルの対応は、ニュージーランドやオーストラリアと比較される。しかし、同国は内陸国であり、隣国から感染者が入ってくるリスクは島国の比ではない。

チェコを含むドイツ、オーストリア、ポーランド、スロヴァキアの中央ヨーロッパ圏は、各国協調のもとでロックダウンを実施し、感染を抑えることに成功した。その最前線に立つのがチェコとスロヴァキアであろう。

先週、ゼマン政権は最大1,000人の集会を許可。スイミングプール、美術館、動物園、城などの観光スポットが入場制限なしで営業できるようになった。

黄金のプラハに外国人観光客はいない。しかし、世界一美しい街を彩るカレル橋に集まった人々は、観光客のいない首都を大いに盛り上げた。主催者とゲストたちはパンデミックに別れを告げ、「プラハのあるべき姿を取り戻す」と高らかに宣言したのである。

アメリカやブラジルはコロナウイルスに苦しめられているが、チェコ人は一致団結し、感染予防対策を徹底したことで、パンデミックを打ち負かした。また、経済活動を犠牲にしてでも国民の命を守る、というゼマン政権の想いは国民に届き、素晴らしい成果をもたらした。なお、当局はコロナウイルスへの監視を怠らず、第二波に備える必要があると国民に呼びかけている。

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最高顧問からの警告

6月30日、ホワイトハウスコロナウイルス対策チームの最高顧問を務めるアンソニー・ファウチ医師は米国上院に対し、「国内における1日当たりの新規感染者数が100,000人を超えても驚かない」と語った。

上院委員会(公聴会)の中でファウチ医師は、南西部の4州で感染爆発が発生したことに触れ、「統制のとれていない国家でパンデミックを抑えることは難しい。また、国民もマスク着用や社会的距離のガイドラインを過小評価している」と述べた。

アメリカの感染者数は再び右肩上がりで上昇を始めている。ホットスポットになった東部ニューヨーク州、ニュージャージー州などは、厳格なロックダウンにより感染を何とか抑えこんだ。しかし、ロックダウンをいち早く解除した南西部エリアでパンデミックがカムバックし、新たな震源地になりつつある。

6月30日の24時間当たりの新規感染者は43,865人を記録。過去5日間で4度目の大台突破となった。

CNNによると、南部および西部の州で大規模なクラスターが発生し、少なくとも18州がロックダウンの段階的緩和を撤回した。その中でも深刻な被害を受けているのがフロリダ州、アリゾナ州、テキサス州、そしてアメリカ最大の巨大都市カリフォルニア州である。

ファウチ医師は、全米中の学校およびビジネス再開に向けて開催された上院委員会に出席し、「州の再開(ロックダウンの解除)を判断する指針」が無視され続けていることを非難。性急な対応がパンデミックの再発につながったと述べた。

ファウチ医師はエリザベス・ウォーレン上院議員に対し、「私は正確な数字を予想することはできない。しかし、アメリカが危険な状況に置かれていることは確かだと保証できる。私たちは自分の”行い”を見て、なぜパンデミックが防げないかを理解しなければならない。経済活動の再開だけを求めれば、これまでの努力が水の泡になる」と述べた。

同じく上院委員会の中で証言を行ったアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は、12の州で入院患者が急増し、アリゾナ州の死亡率が増加していると述べ、「私たちは一丸となって感染拡大を防がねばならない。外出時には必ずマスクを着用し、自分や家族の命を守ってほしい。自分は大丈夫、という誤った考えは今すぐ捨て、国民全員が責任を持って行動すべきだ」と付け加えた。

上院委員会を率いる共和党上院議員のラマー・アレクサンダー氏は、トランプ大統領に対しマスクを着用するよう呼び掛けた。

「残念なことに、”マスクを着用する”という簡単な作業が政治論争の一部になってしまった。共和党支持者たちは、大統領がマスクをつけなければそれに従う。反対派は当然マスクをつける。トランプ大統領には、公の場でマスクを着用してほしい」とアレクサンダー上院議員は語った。

6月29日、ファウチ医師は一部の専門家が主張する集団免疫について、「ありそうもないし、期待すべきでない。今できることは社会的距離をとり、防護具を着用することだ」と警告した。

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