2020年11月13日 AP通信/ワシントンD.C.ホワイトハウス、演説する敗北者のトランプ大統領

13日午後、敗北のショックでホワイトハウスに引きこもっていたトランプ大統領が久しぶりに元気な姿を見せた。

ホワイトハウス、ローズガーデンで演説したトランプ大統領は、国内のコロナウイルス感染状況が悪化していることには触れず、オペレーション・ワープ・スピードで開発されたファイザー社のワクチンを自慢した。なお、敗北宣言は行わず、新たな発表もなかった。

トランプ大統領は、数日前に発表されたファイザー社のコロナワクチンの効果を素晴らしいと述べ、「連邦政府は約束を果たした」と宣伝した。

また、事あるごとに罵り合ってきた政敵、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事の感染予防対策を批判。「クオモの独立審査委員会はニューヨーカーのワクチン接種を遅らせるだろう」と述べた。

ドナルド・トランプ大統領:
「ニューヨーク州のような場所を除き、ワクチンは来年4月頃までに届くだろう。クオモの判断は共和党への挑発としては良いと思うが、健康には非常に悪い。彼はワクチン接種を遅らせたいようだ」

「クオモはワクチンを信用していない。アメリカのワクチンは、世界最高の企業と世界最高の研究所が開発している」

一方、クオモ州知事はトランプ大統領の記者会見直後にケーブルテレビに出演。「食料医薬品局(FDA)のワクチン承認結果を検証しても、配布が遅れることはない」と反論した。

再検証を行うニューヨーク州の科学委員会も、「FDAの報告書が政治化されていないかを調査するだけであって、ワクチンの再テストを行うつもりはない」と述べている。

クオモ州知事はCNNニュースのインタビューの中で、「供給開始とNYのレビューは同時に行われる」と強調した。

トランプ大統領は選挙活動に没頭していたため、コロナウイルス対策チームの会議にほとんど出席していなかったが、9日のワクチン報告会には久しぶりに顔を出した。

トランプ大統領はファイザー社のワクチンを祝うと同時に、「選挙前に発表すべきだった」と不満を口にしている。

2020年11月11日 AP通信/バージニア州アーリントン、アーリントン国立墓地で行われた復員軍人の日の儀式に出席したトランプ大統領

トランプ大統領は「ワクチン発表のタイミングを何者かが意図的に遅らせ、共和党に不利益を与えた」という陰謀論を吹聴している。

また、キャンペーン最終段階ではコロナウイルスに焦点を当てるメディアに反発し、「COVID、COVID、COVID・・・」と連呼。コロナウイルスが共和党の選挙活動を傷つけたと主張し、「選挙後、私たちはその名を二度と口にせず、聞くこともなくなるだろう」と語った。

一方、メディアもコロナウイルスの話題を報道したくないと主張しているが、トランプ大統領の失態の影響で国内の感染状況が爆発的に悪化し、報道せざるを得ない状況に陥っている。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、アメリカの累計感染者数は1,070万件、累計死亡者は24.3万人。12日の新規陽性数は世界最高記録を大幅に更新する163,402件だった。

トランプ大統領のお膝元、フォックスニュースのジェラルド・リベラ氏は大統領との会話について、次のようにツイートしている。

ジェラルド・リベラ氏:
「彼は現実主義者であり、正しいことをすると述べた。また、特定の州で何らかの投票認証プロセスを実行させたいと考えているようだ」

「彼は追いつめられたヘビー級チャンピオンのように見える。しかし、もたらされた結果を見て、最後まで戦うと決心した」

「彼は試合終了のゴングに備えつつ、ノックアウトの方法を探していると言った」

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