ハンティング

某有名大学のF教授は、恋愛を「ハンティング(狩り)」と呼び、「狩場に足を運ぶ男と女は狩猟民族の本能に従っているだけ」と言った。

私は狩人ではないが、恋愛はハンティングという考えに賛同する。

10年前、私はある女性に一目惚れし、何が何でも付き合いたいとしつこくアプローチし続けた。彼女が欲しい、キスしたい、セックスしたい、という想いに突き動かされ、尻を追いかけ回したのである。

しかし、シエナ(仮名)はどこ吹く風、気がありそうなそぶりを見せたと思ったら肩透かしを食らわされ、捕縛成功と思った瞬間、強烈なビンタを食らったこともある。

身体が言うことをきかない。心の中では「このままじゃマズイ、切り替えろ」と思っている。しかし、好きになった女の服を引きむりしとりたいという願望には逆らえなかった。

アプローチを開始してから2か月、私はシエナを捕縛、服をむしりとることに成功した。初セックスは最高だったと記憶している。

数日後、違和感を覚えた。命がけで捕縛したシエナと一緒に食事をしていたのだが、何かが足りない。私たちは標準的なウザイカップルと同じようにベタベタ密着し、意味もなく(?))足を絡めたり手を取り合っていた。が、あの時の興奮はどこかに消えてしまったのである。

私と同じような経験をしたことのある方は、標準的な狩猟民族だと思う。

獲物(意中の異性)に狙いを定め、喉元に喰らいつく(キスもしくはセックスする)べく追いかけ回す。崖っぷちに追い詰めとどめを刺したら、その肉を喰らう(キスもしくはセックスする)。

捕縛した獲物を喰い尽くした後は・・・ひと休みののち、次の獲物を狙う。

なぜシエナへの興味を失ってしまったのか。私は意中の異性を捕食したことで満腹になった。しかし、ベッドの上でひと休みすると、熱く燃えたぎっていたムスコは落ち着きを取り戻し、次の異性のハンティングに興味が移ってしまったのだ。

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ニューヨークの狩場

数千年前、狩りは男の仕事だった。

21世紀、ニューヨーカーは男女を問わず誰もが狩りをする。

ニューヨーカーたちの狩場は、独身男性や独身女性で混雑するバーやパーティ会場などである。特に週末の晩になると、狩場はハンパない盛り上がりを見せる。

男たちは半裸状態のドレスで堂々と歩く女性に狙いを定める。週末なので当然アルコールも入る。男たちは必ずセックスする、という意気込みで標的に襲いかかるのだ。

女たちも同様である。自分を狩人と認めたうえで、背中が丸見えのドレスに身を包み、「リッチ」「セクシー」「デカそう」な男性に声をかけ、必ずヤルという心持ちで異性の気を引く

ゲイはさらに凄い。週末のゲイバーやゲイディスコ、特に男性専用の盛り場は、まさに酒池肉林である。上半身裸のムキムキマッチョたちが踊り狂い、標的との距離を詰め、喉を掻く(キスする)

女友達と一緒にゲイディスコデビューを果たした時は、強烈な熱気に打ちのめされた。ゲイたちの鍛え上げられた身体、汗、体臭は私には刺激が強すぎたのである。しかし、マンハッタンいちの狩場と呼ばれるだけのことはあると思った。

アフリカ系アメリカ人の独身女性ニューヨーカーは、最強の狩人だと思う。

私が関わったアフリカ系アメリカ人女性は、白人より力強くどう猛、目をギラつかせつつ男を吟味し、軽々と捕縛していた。

一方、独身男性ニューヨーカーは、自分をビッグに見せつつ、「いい女を手に入れたい」「セックスしたい」と考えながらも、冷静に相手を値踏みする。

彼らは独身女性より何となく余裕を感じさせる。理由は、独身男性ニューヨーカーが希少生物だからだ。

ニューヨーク州全体で見ると、独身男性と独身女性の数に大きな差はない。しかし、マンハッタンでは独身男性の方が圧倒的に少ないのである。

アッパーイーストサイドやミッドタウンでは、「石を投げれば既婚男性に当たる」と言われるほど独身男性が少ない。つまり、彼らは独身女性のターゲットになりやすいのである。

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狩りに失敗したら

狩りの成功率は人によって大きく異なる。

調子の良い日もあれば悪い日もある。これは人間なので致し方ない。

男性の場合、「リッチ」「セクシー」「男前」であるほど成功率は上がる、と思う。ただし、頭の悪い金持ちより、話上手な普通の男が人気を集めることもあるので、一概にそうだと決めつけることはできない。

男は女性を「容姿」「スタイル」「雰囲気」で値踏みする。そして、女性は単純な男の考えを理解しているため、自分の武器をフル活用し、狩りの成功率を上げる。

狩りに失敗したらどうすればよいか?

何が何でもセックスしなければならない、という男性であれば、セックスワーカーに依頼する、もしくはいるのであれば、セックスフレンドに連絡すればよい。「そんな都合のよい相手はいない」「金もない」という方は、自宅でマスをかき、明日に備えてさっさと寝なさい。

女性の場合は、セックスフレンドにヘルプを求める、もしくは大人のおもちゃを使うことになる。

もっと高尚な方法で狩りの失敗を埋め合わせたい、という方は、筋力トレーニングをおすすめする。

ジムでバーベルやダンベルを持ち上げる、自室で腕立て伏せや腹筋をすると、疲れる。身体を全力で酷使し、「もう駄目だ」というレベルまで自分を追い込もう。バテバテになると、セックスしたいという願望は消え失せてしまう(はずだ)。

ただし、ジムでも異性の存在が気になる。私は汗まみれの女性を見ると異様に興奮してしまう。汗と体臭の混じった何とも言えない香りにやられてしまうのだ。

友人のサラ(仮名)は、鍛え上げた男の身体を眺めるのが大好きらしく、「あの匂いがたまらない。汗だくになりながらヤリたい」と言っていた。つまり、ジムも健康的かつ健全(?)な狩場になり得るのである。

今すぐ異性を狩りたい、セックスしたい、という方は、標的を捕縛できる狩場に足を運ぼう。異性に出会える場所は全て狩場と考え、過去に成功したことのある施設やスポットを選べば、それだけ成功率も上がるはず。

私のおすすめはジム、ラフな雰囲気の安酒場だ。なお、気取ったバー、パーティ会場、ゲイディスコでもよいが、そういう場所にはお高くとまったイヤな異性も複数存在するため、正直苦手である。

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