◎北朝鮮がハリウッド映画のような演出でキムを宣伝したのは初めてと信じられている。
北朝鮮の金正恩 党総書記は24日、同国最大の大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星17を発射し、西側諸国を威嚇した。
国営メディアもキムの活躍を大々的に報じている。
サングラスをかけたキムがICBMの前を颯爽と駆け抜けるハリウッドスタイルのプロモ映像は世界を騒然とさせた。
北朝鮮がハリウッド映画のような演出でキムを宣伝したのは初めてと信じられている。
欧米の主要メディアは、グラサン、革ジャン、映像効果、ドラマチックな音楽、キム、そして米国全土を射程に収めると考えられているICBMに困惑した。
北朝鮮のメディアは通常、軍歌のような音楽と地味な映像でキムを紹介するため、多くの専門家が今回のドラマチックなプロモに懸念を表明した。
メディアは火星17の発射をニュースという名目で報じたが、これまでの報道とは明らかに異なっていた。
15分に及ぶ映像、演出、グラサン、革ジャン、キム。キムはプロモの中でグラサンをおもむろに外し、時計をチェックし、「さあ、やろう」と言わんばかりにカメラを直視し、視聴者をあっといわせた。
ドラマチックな音楽が流れる中、火星17はキムの合図で火を噴き、北朝鮮のピンクレディーと呼ばれ、たたみかけるようなナレーションで知られるベテランニュースキャスターがいつもの感じで発射を盛大に祝った。
ソーシャルメディアユーザーはキムのプロモをトップガン、サンダーバード、ボリウッド映画と比較した。あるユーザーは有人宇宙飛行計画マーキュリー計画に従事した7人の宇宙飛行士の実話を基に描いた1983年の大ヒット映画「ライトスタッフ」を模倣しているように見えると指摘した。
韓国の専門家は、「北朝鮮の視聴者は恐らく、映像に困惑したと思う」と述べている。北朝鮮は西側の映画やドラマを厳しく取り締まっており、ビデオや写真を取り扱った者は処刑される可能性がある。
北朝鮮のプロモ部隊の真意は不明だが、一部の専門家は、「当局は新鮮で刺激的な映像を公開することで民族の誇りと金正恩のイメージアップを図った可能性がある」と指摘している。
キムは2019年末に白頭山に登った際、馬上でぎこちない姿を見せ、世界を騒然とさせた。しかし、今回のプロモ映像にぎこちないキムは映っておらず、SNSには「ハリウッドスター」「痩せた」「頑張っている」などと言った励ましのコメントが多数寄せられた。
食糧不足に悩まされている北朝鮮の人々がこのプロモを見てどう思ったかは分からないが、恐らくほとんどの人が唸ったと思われる。
北朝鮮のプロパガンダ部隊は火星17の発射映像が世界中で話題になることを見越していた。だからこそ、ハリウッド映画のような演出を採用したのかもしれない。
キムは火星17の発射成功とプロモ撮影完了を祝い、満面の笑みを浮かべた。
日本と韓国政府によると、ミサイルは首都の近郊にある国際空港の敷地から発射されたという。失敗すれば、空港だけでなく周辺住民にも壊滅的な影響を与える可能性があった。
火星17はキムの秘密兵器のひとつと考えられており、今回の報道は主に米国を威嚇するためのものと考えられている。
米国は25日、国連安保理に対北朝鮮制裁を強化するよう求めた。
北朝鮮の食糧不足は極めて深刻と伝えられているが、実態はほとんど明らかにされていない。
1994年から1998年頃に発生した大飢饉では、市民200万~350万人が餓死または栄養不足に関連する病で死亡したと推定されている。