◎ダンゴート肥料工場の生産能力は年間300万トン。
ナイジェリアのブハリ大統領は22日、ロシア・ウクライナ戦争の余波で食糧価格が高騰する中、アフリカ大陸と世界の食糧供給に貢献することを目的とするアフリカ最大の肥料工場の落成式に臨んだ。
首都ラゴスの郊外に建設された肥料工場はナイジェリアの実業家アリコ・ダンゴート氏にちなんでダンゴート肥料工場と名付けられた。建設費は25億ドル(約3,000億円)と伝えられている。
ブハリ大統領は、「この工場の肥料はナイジェリアだけでなくアフリカに利益をもたらす」と述べ、運用開始を祝った。
ナイジェリア中央銀行のエメフィール総裁は、「この肥料工場はナイジェリアが長年抱えていた肥料の問題を解決する」と述べたうえで、「落成は時宜にかなったものである」と強調した。
ロシアは世界最大の肥料輸出国であり、ウクライナ侵攻の影響で世界の肥料価格指数は急上昇している。また、原料となる天然ガスの高騰で欧州の肥料メーカーが減産に転じていることも価格を押し上げる要因となった。
農業はナイジェリア経済の生命線であり、2021年のGDP1,730億ドルのうち25.8%を占めている。農家は肥料や改良苗などの供給が減ることを恐れている。
ダンゴート肥料工場の生産能力は年間300万トン。政府は欧州に頼らず、より大量に、より高品質な肥料を入手できるようになると期待を表明した。
AP通信によると、この肥料工場で生産された肥料は米国、ブラジル、インド、メキシコなど、多くの国に輸出される予定。
工場のオーナーであるダンゴート氏は落成式の中で、「ロシア・ウクライナ戦争は食糧だけでなく、世界の肥料貿易にも深刻な影響を与えている」と懸念を表明した。
ロシア当局は今月、国内の肥料メーカーに輸出を一時的に停止するよう命じた。
ダンゴート氏は「新工場の完成でナイジェリアは肥料を自給できるようになり、さらに、アフリカ市場や世界各国に肥料を輸出できるようになる」と述べている。