◎パカヤ山から流れだした溶岩流は、サン・ビセンテ・パカヤのエルパトロシニオ村に向かってゆっくり進み、村の外れの住宅から約250mの地点に迫っていた。
2021年4月20日/グアテマラ、サン・ビセンテ・パカヤのエルパトロシニオ村周辺の衛星写真(AP通信)

現地メディアによると、中米グアテマラの活火山、パカヤ山の麓の小さな村は、ゆっくり押し寄せてくる溶岩の波に困惑しているという。

火山から流れ出した溶岩流は、サン・ビセンテ・パカヤのエルパトロシニオ村に向かってゆっくり進み、村の外れの住宅から約250mの地点に迫っている。

村の住民のひとり、エマ・クエザダ氏はAP通信の取材に対し、「火山活動には慣れているが、今回のマグマの侵攻には恐怖を感じる」と述べた。「パカヤ山の噴火には慣れましたが、溶岩が村の近くまで押し寄せるとは思っていませんでした。この3日間、溶岩は動いていません。これ以上進まないことを願っています」

地方自治体は村を約100km離れた地点に移動させる案を住民に提案したが、受け入れた人はいなかったという。

クエザダ氏は、「別の土地に移ることは考えていない」と述べた。「エルパトロシニオは田舎かもしれませんが、私たちは大自然と平和に満足しています。村には泥棒も強盗もいません。地方自治体の提案はありがたいと思いますが、エルパトロシニオ以外に選択肢はありません」

2021年4月20日/グアテマラ、サン・ビセンテ・パカヤのエルパトロシニオ村近く、固まった溶岩と住民(AP通信)
2021年4月20日/グアテマラ、サン・ビセンテ・パカヤ、パカヤ火山(AP通信)

パカヤ山はグアテマラを代表する人気観光地のひとつであり、毎年多くのトレッキング客で賑わう。最高点は2,552m。

パカヤ山の噴火活動は2月初旬頃から本格化し、山の側面の割れ目から溶岩が流れ始め、4月20日時点で約5km下流まで進んだ。

住民によると、溶岩はトウモロコシ畑と牧草地に深刻な影響を与えたという。

サン・ビセンテ・パカヤの都市農村コミュニティカウンシルのジュヴェンティーノ・ピネダ氏はAP通信の取材に対し、「村では57世帯、約350人が生活しています」と述べた。

ピネダ氏によると、パカヤ山の溶岩は1962年にも周囲の村に影響を与えたという。「1962年の噴火は特にひどかったです。私は当時子供で、溶岩は今回と同じように火山の側面から噴き出していました。父は、牧草地は焼け野原になったと嘆いていました」

ピネダ氏は今回の噴火はエルパトロシニオ村に深刻な影響を与える可能性が高いと警告した。「溶岩は村の目の前に迫っています。ただし、私たちは最悪の事態に備えて避難計画を準備しています」

AP通信のジャーナリストによると、溶岩の表面はカチカチに固まっているが、内部の熱の影響で周辺の温度は確実に上昇しているという。

固まった溶岩の上で談笑していた男性はAP通信の取材に対し、「火山ガスは出ていないと思うが、万一を考えると、近づかない方がよいだろう」と述べた。

2021年4月20日/グアテマラ、サン・ビセンテ・パカヤ、パカヤ火山と馬(AP通信)
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