タンザニア2025暴動、518人死亡、調査委員会が報告書を公開
報告によると、暴力は投票が行われた10月29日を中心に各地で発生し、数千人が負傷した。
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アフリカ東部・タンザニアで2025年10月の大統領選挙後に発生した暴動について、政府が設置した調査委員会は23日、少なくとも518人が死亡したとする報告書を公表した。これは同国での選挙後混乱の被害規模が公式に示された初めての事例であり、国内外に大きな衝撃を与えている。
報告によると、暴力は投票が行われた10月29日を中心に各地で発生し、数千人が負傷した。このうち800人以上が銃撃により負傷し、治安部隊による武器使用の実態が焦点となっている。調査委員会の責任者は声明で、遺体が正式な検視を経ずに埋葬されたケースも多いと指摘し、実際の死者数はさらに多い可能性があると述べた。
暴力の背景には、選挙の公正性をめぐる強い不満があった。主要野党指導者のトゥンドゥ・リス(Tundu Lissu)氏が反逆罪で収監されたままであったほか、有力候補の立候補が認められなかったことから、若者を中心に抗議デモが拡大した。これに対し当局はインターネットを数日間遮断し、情報の流通を制限する措置を取ったが、ハッサン(Samia Suluhu Hassan)大統領はその後、この対応について謝罪し、再発防止を約束している。
ハッサン氏は約97%の得票率で再選を果たしたが、国際的には自由で公正な選挙であったか疑問が呈されている。委員会は一方で、抗議デモを「違法で暴力的」と位置づけ、計画的に組織された可能性があると結論づけた。訓練を受けた人物が若者を動員し、各地で同時多発的に混乱を引き起こしたとの見方も示されている。
ただし、この結論には野党や人権団体から強い反発が出ている。政府側が主導する委員会が治安部隊の責任を十分に検証していないとの批判があり、独立した調査の必要性を求める声が高まっている。また、245人が依然として行方不明であるほか、一部の遺体が遺族の確認後に消失したとの証言もあるなど、事態の全容はなお不透明である。
委員会は集団墓地の存在については確認できなかったとしているが、銃器使用の経緯については追加調査を勧告した。目撃証言の中には、自宅や店舗内にいた非参加者が銃撃されたというものも含まれ、治安部隊の対応の適切性が今後の争点となる見通しである。
今回の報告は政治的安定を保ってきたタンザニアにおいて、選挙をめぐる対立が深刻な暴力に発展した現実を浮き彫りにした。政府はさらなる捜査を検討するとしているが、責任の所在や被害者救済をめぐる議論は長期化する可能性が高く、民主主義のあり方が問われている。
