◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
アフリカ東部・ケニアのルト(William Ruto)大統領が22日、今後数週間のうちに中米ハイチに警察官600人を追加派遣すると表明した。
ルト氏はハイチの首都ポルトープランスを訪問し、国連PKOを率いるケニア国家警察の隊員らと面会。増派を約束した。
ケニア政府は今年6月に先発隊として警察官400人をポルトープランスに派遣。ハイチ国家警察を支援している。
ルト氏は今回のミッションを完全な平和維持活動にすると約束。現場でギャングと戦う署員を称賛した。
またルト氏は国連安全保障理事会に対し、「このPKOをハイチ国民が納得する、完璧なものにするためには、さらなる要員と装備が必要だ」と訴えた。
隣国ジャマイカも今月初めに約20人の警察官と陸軍兵士をポルトープランスに派遣した。
しかし、国連の専門家はPKOの要員と装備が明らかに不足していると警鐘を鳴らしている。
バハマ、バングラデシュ、バルバドス、ベナン、チャドも部隊の派遣(少なくとも1900人)を表明しているが、時期は明言していない。米国は3億ドルを拠出する予定だ。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ハイチではPKO活動開始後も暴力が横行。国連のハイチ担当であるオニール(William O'Neill)氏は今週、PKOの資金・人員不足が解消されず、ギャングの暴力が全土に広がっていると警告した。
国連安保理は今月末までに会合を開き、PKOの活動期間を12か月延長。その規模を拡大するかどうか議論する予定だ。
ハイチ政府は以前、米国とカナダに部隊を率いるよう要請していた。