◎ビットコインの価格は株や債券のように激しく変動する。
2021年1月18日/カメルーンに避難した中央アフリカ共和国の難民(Daniel Ekonde/ロイター通信)

中央アフリカ共和国の議会は27日、暗号資産の使用を合法化する法案を賛成多数で可決した。

トゥアデラ大統領は声明で、「国民議会は全会一致で暗号通貨の使用を合法化する法案を可決し、同日公布した」と発表した。

法律はビットコインを法定通貨とすると明記している。これにより、ビットコインはCFAフランに次ぐ第2の法定通貨に正式採用された。

トゥアデラ大統領は、「ビットコインは為替レートに基づき、政府が認めたプラットフォームで取引され、ビットコインで税金を納めることも可能になる」と説明した。「中央アフリカ共和国はアフリカ大陸で初めて、ビットコインを法定通貨に採用した国になりました...」

国連によると、中央アフリカ共和国は世界最貧国のひとつで、9年ほど前から治安が悪化し、暴力が蔓延しているという。政府は何とか首都を死守しているが、国土の大部分は武装勢力の管理下に置かれている。

トゥアデラ大統領は議会と政府を称賛し、国民にビットコインを積極的に利用するよう呼びかけた。「この決定により、中央アフリカ共和国は世界で最も勇気と先見の明のある国のひとつになりました」

一部の専門家は法律がロシアに有利に働く可能性があると懸念を表明している。

トゥアデラ政権は武装勢力を撃退するためにロシアの民間軍事会社「ワグネル」と契約を結び、傭兵を調達している。

ワグネルの傭兵はマリ北部のサヘル紛争でも暗躍しており、イスラム過激派組織を含む武装勢力だけでなく民間人も殺害していると告発されている。

フランス国際関係研究所(IFRI)は、「アフリカの腐敗した政府と国際的な制裁下にあるロシアのつながりが疑念を生んでいる」と説明している。「ロシアが西側の金融制裁を回避する方法を模索していることは明らかであり、ビットコインは主要な抜け道のひとつと考えられています」

トゥアデラ大統領は「法案は全会一致で可決された」と述べたが、AFP通信によると、一部の野党議員は閉会後、「憲法裁判所に法律の取り消しを求める」と宣言したという。

AFP通信は野党議員の発言を引用し、「この法律は国の優先事項ではない。犯罪で利益を得るのは誰だ?」と報じた。

この法律は同国内において、「全国民、国営企業、民間企業は制限を受けることなく暗号通貨に関連する取引を行えるようになる」と規定され、「オンライン取引」「すべての電子商取引」「税金」などにも言及している。また暗号通貨の交換は課税対象ではないとも記載されている。

多くの野党関係者や市民団体がこの法律を非難し、「国家主権を危険にさらす」と抗議している。

中米エルサルバドルは昨年、世界で初めてビットコインを法定通貨に採用した。国際通貨基金(IMF)はこれを即座に非難している。

現時点でビットコインを法定通貨とした国はエルサルバドルと中央アフリカ共和国だけだが、報道によると、一部の貧しい国はそれを検討し、立法プロセスを開始した国もあるという。

中国はビットコイン、イーサリアム、その他の全ての暗号通貨は金融システムを混乱させ、マネーロンダリングやその他の犯罪に利用されるとして、厳しく取り締まっている。

ビットコインの価格は株や債券のように激しく変動する。2021年には150%以上急騰し最高値を更新したが、その後30%以上急落し、投機家を驚かせた。今年2月はマイナス17%、3月はプラス8%、4月はプラス10%と、変動は非常に激しいままである。

2022年3月5日/中央アフリカ共和国、首都バンギで開催された親ロシア集会(Getty Images/AFP通信)
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