◎フィリピンを含むアジア地域ではサイバー犯罪が大きな問題となっている。
2023年6月27日/フィリピン、マニラ首都圏、サイバー犯罪組織の拠点とされる建物(Philippine National Police Anti-Cybercrime Group/AP通信)

フィリピンの警察当局がマニラ首都圏にあるサイバー犯罪組織の拠点を取り締まり、そこで働かされていた18カ国の市民2700人以上を保護した。地元警察が27日に発表した。

それによると、中央政府が主導する警察のサイバー犯罪部門は26日午後に取り締まりを開始し、首都圏にあるビル7棟を家宅捜索したという。

警察は「人身売買の被害者」とされる18カ国の市民2700人以上を保護したとしている。

フィリピンを含むアジア地域ではサイバー犯罪が大きな問題となっており、多くの国で一般市民がフィリピン・ミャンマー・カンボジアなどで「特定の仕事」に就くよう誘われている。

しかし、勧誘に乗った市民の一部は奴隷のように扱われ、サイバー犯罪や人身売買を強制されたりしている。

AP通信は警察筋の話しとして、「今回の摘発は過去最大規模であり、フィリピン国内にサイバー犯罪組織の拠点が複数あることを示している」と伝えている。

ASEAN(東南アジア諸国連合)の首脳は先月インドネシアで開催されたサミットで、一般市民をサイバー犯罪に加担させる組織と戦うために、国境管理と法執行を強化し、サイバー犯罪関連の国民教育を拡充することで合意した。

フィリピン国家警察のサイバー犯罪部門によると、今回の摘発で保護された市民はフィリピン人が1534人、外国人が1190人。

外国人の内訳は中国人が604人、ベトナム人183人、インドネシア人137人、マレーシア人134人、タイ人81人など。ミャンマー、パキスタン、イエメン、ソマリア、スーダン、ナイジェリア、台湾の出身者も数人確認されている。

警察は今回の摘発で逮捕者が出たかどうかを明らかにしていない。

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