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米ウィスコンシン州の警察署長が弾薬の違法輸入計画に関与

カリフォルニア州の銃器販売業者がウィスコンシン州の警察トップを巻き込み、違法な弾薬輸入を試みていた。
拳銃のイメージ(AP通信)

中西部ウィスコンシン州の警察署長が装甲貫通弾の不正輸入計画に関与した疑いがあるとして波紋が広がっている。AP通信によると、カリフォルニア州の銃器販売業者がウィスコンシン州の警察トップを巻き込み、違法な弾薬輸入を試みていたという。

問題となっているのはカリフォルニア州バカビルで銃販売業を営んでいたジェイコブ・ダウド(Jacob Dowd)とダリン・ダウド(Darin Dowd)の兄弟である。検察によると、両者は2021年6月、ボスニア・ヘルツェゴビナの企業から約49万発の装甲貫通弾を米国に輸入するため、アルコール・たばこ・火器爆発物取締局(ATF)に申請を行った。米国ではこの種の弾薬の輸入は原則禁止されているが、法執行機関向けであれば例外的に認められる場合がある。兄弟はこの例外規定を悪用し、「法執行機関向け販売」であると虚偽の説明を行っていた。

この申請を裏付けるために利用されたのが、ウィスコンシン州リン町の警察署長だったジェームズ・ブシェイ(James Bushey)である。人口約2700人の小さな町にある警察署が、150万発もの弾薬を購入するという内容の発注書が署で作成され、申請書類に添付されていた。しかし検察は、この警察署には弾薬を購入する意思も資金もなく、実際に使用する合理的な理由もなかったと指摘している。

捜査当局によると、兄弟は仲介者を通じてブシェイに接触し、虚偽の発注書を作成すれば、パトカーや装備品の購入資金を提供すると持ちかけたという。ブシェイはこれに応じ、実在しない取引を装った書類を作成したとされる。また町議会に対しては、弾薬は無償で提供すると説明し、承認を得ていたが、自身が見返りを受け取る点については伝えていなかったとされる。

この不自然な発注内容は当局の疑念を招き、ATFが調査を進めた結果、輸入計画は阻止された。検察は輸入された弾薬が最終的に別の買い手に転売される予定だったとみているが、具体的な販売先は明らかになっていない。また、テロなど特定の攻撃目的があったことを示す証拠は現時点で確認されていないという。

刑事責任については、兄弟が共謀罪で有罪を認め、判決を待っている状態である。いずれも最大で禁錮5年の刑に直面する可能性がある。一方で、ブシェイ元署長は現時点で起訴されておらず、捜査対象かどうかについても当局は明言を避けている。

ブシェイはすでに警察を離れており、後任人事も進んでいるが、地元当局は本件に関する詳細な説明を控えている。小規模な警察組織が巨大な弾薬取引に関与したとされる今回の事件は、規制の抜け穴を突いた不正の実態とともに、地方行政の監督体制の脆弱さを浮き彫りにした。今後、元署長の責任の所在や、類似の不正を防ぐ制度のあり方が問われることになる。

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