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ChatGPTに広告導入、米オープンAIの狙い、知っておくべきこと

オープンAIは企業価値が約5000億ドル(約79.1兆円)に達しているにもかかわらず、実際には収益よりも支出が大きく、特に巨大なAIインフラの構築やデータセンターの運用などで赤字を出している。
チャットGPTのロゴ(Getty Images)

AI企業「オープンAI」は16日、対話型AI「ChatGPT」に広告を導入する計画を正式に発表した。これにより、これまで無料で利用できたChatGPTの一部ユーザーに対して、今後数週間以内に広告が表示されるようになる見込みだ。広告はまだ本格実装されていないが、テストが間もなく始まるという。今回の動きは、ChatGPT利用者約8億人の大半が無料で利用している現状に対し、オープンAIが収益基盤を強化する戦略の一環である。

オープンAIは企業価値が約5000億ドル(約79.1兆円)に達しているにもかかわらず、実際には収益よりも支出が大きく、特に巨大なAIインフラの構築やデータセンターの運用などで赤字を出している。このため、既存の有料サブスクリプション収入だけでは持続的な収益を確保することが難しいと判断し、広告を追加の収入源として導入することになったと説明している。

新たに導入される広告は、ChatGPTの回答下部に表示される形式を採用し、ユーザーが行った会話内容に関連性のある商品やサービスを紹介する形になるという。オープンAIは広告がChatGPTの回答内容に影響を与えることはなく、回答と明確に区別して表示されることを強調している。また、ユーザーの対話内容が広告主に直接共有されたり販売されたりすることはないとしている。

オープンAIのアプリケーション責任者は広告導入について、「最も重要なのは広告がChatGPTの回答に影響を及ぼさないことだ」と述べ、ユーザー体験を損なわない形で実装する意向を示している。またソーシャルメディア上で、広告が明確にラベル付けされ、会話本来の回答とは分離して提示されると説明した。

広告の対象となるのは主に無料ユーザーと、低価格プラン「ChatGPT Go(月額約8ドル)」利用者で、従来からの有料プランである「ChatGPT Plus」や「Pro」、「Business」、「Enterprise」などの利用者には表示されない予定だ。これにより、広告表示の有無を有料プランの価値として差別化する戦略も併せて進められている。

ただし、広告導入に対しては業界内外から懸念の声も出ている。デジタル権利擁護団体「センター・フォー・デモクラシー・アンド・テクノロジー」は、AIが個人の相談相手や助言者として使われる場面も多いことから、広告の導入が利用者の信頼を損なう危険性を指摘し、「ソーシャルメディアが辿った道を再び進むリスクがある」と警鐘を鳴らしている。

オープンAIはもともと非営利組織として設立され、AI技術を人類全体の利益に役立てることを目的としてきたが、2025年に公益目的会社へと組織再編した。この組織変更の後、収益化の方法として広告を含む多様なモデルを模索している。オープンAIは広告の導入が当初の使命に反するものではなく、AIへのアクセスを広げるための重要な施策だとしている。

広告導入を巡っては今後、テストの実施と利用者からの反応を踏まえて微調整が進む見通しであり、最終的な表示形式や対象地域の拡大なども段階的に検討される可能性が高い。専門家は、AIプラットフォームにおける広告モデルがAI技術全体の持続可能性や倫理にどのような影響を及ぼすかについて、引き続き注視する必要があるとしている。

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