魅力的な情報を発信する広告に注意、詐欺の可能性も
消費者保護の観点からは、広告の信頼性を見極める目を養うことがこれまで以上に重要になっている。
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オンラインショッピングの広告で、魅力的な背景ストーリーを打ち出すものの、実際には実在しない「偽の小規模ビジネス」であるケースが増えているとして、消費者への注意喚起が広がっている。こうした広告は特にホリデーシーズン前後に多く見られ、「家族経営」「長年の歴史」「職人の逸話」など心を引く物語を前面に出して信頼を得ようとするものが目立つが、専門家は巧妙な手口にだまされないよう警告している。
AP通信はセーターや雑貨などを扱うように見える「Melia & Co」や「Olivia Westwood Boutique」といったオンライン店舗を例に挙げている。両サイトとも「家族で営む小さな店」「創業者の思い出を大切にした商品」などの説明文が掲載され、いかにも実在の店のような印象を与えていた。しかし、掲載されるアイスランド風・北欧風のセーターの画像や商品は複数の類似サイトと同じストック写真で使い回されており、実際の商品の出所や販売者の実態が確認できない状態だった。両サイトのドメイン登録情報を見ると、中国で昨年11月に取得されたものであることが分かっており、信頼性に疑問が残る。レビューサイトでは「低品質の商品が届いた」「返品が困難だった」などの否定的な利用者の声が相次いでいる。
こうした詐欺広告は特段珍しいものではないという。ピューリサーチセンターの調査では、2025年4月に実施したアンケートで、36%の米国人がオンラインで商品を購入した際、注文した商品が届かなかったり偽物だったりして返金を受けられなかった経験があると回答している。デジタル広告の高速な進化とAI技術の向上により、消費者が見分けるのは以前より一段と難しくなっている。
詐欺的な広告手法の一つとして、生成AIの画像や物語を使い、あたかも職人が手作業で商品を仕上げているかのような印象を与える例がある。ミネソタ州の大学でマーケティングを教えるセス・ケトロン教授は、「こうした手法は一般的になりつつあり、消費者が注意深く見ない限り偽物と気付かないことが増えている」と指摘している。
また、実在する企業やブランド名を模倣したウェブサイトも確認されている。カナダ・オンタリオ州のオンラインジュエリー店「C’est La Vie」のオーナーは、同名を騙る複数の偽サイトが世界各地に存在し、実際には存在しない実店舗の所在地や長年の歴史を謳っていたと話す。これにより、消費者が誤って偽サイトで購入してしまい、本物の店に対する苦情が集中する問題も発生したという。
専門家はこうしたリスクを回避するためのいくつかの基本的な確認手順を示している。まず、広告に表示されるビジネスの詳細が検証可能かを確認すること、例えば実在の住所や長年のレビュー履歴があるかどうかをチェックすることが重要だ。また、第三者のレビューサイトや優良企業局、トラストパイロットなどの評価も参考にするべきだ。ドメイン登録情報を調べ、広告内で謳われている所在地と登録国が一致しているかも重要なポイントである。
さらに、疑わしい場合には販売者にメールや電話で直接問い合わせることも推奨される。正規の事業者であれば対応に応じるのが一般的であるからだ。一方で、広告のストーリーが感情に訴えるものであっても、それだけで信用するのは危険だと注意を促している。
消費者保護の観点からは、広告の信頼性を見極める目を養うことがこれまで以上に重要になっている。AI技術の進展により詐欺広告がさらに巧妙化する中で、慎重に情報を収集し判断する姿勢が求められている。
