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ギリシャ銃撃事件、89歳容疑者「抗議と絶望による行動」

男は今回の行動について、「抗議と絶望の行為」だったと説明している。
2026年4月28日/ギリシャ、首都アテネ、銃撃事件が発生した現場から避難する人々(AP通信)

ギリシャの首都アテネで28日に発生した銃撃事件について、現地メディアは29日、逮捕された89歳の男が「抗議と絶望」による行動だったと弁護士に説明したと報じた。事件の背景に公的サービスへの不満があった可能性が浮上している。

事件は28日に発生。容疑者は散弾銃を用い、まず社会保障事務所で発砲し、職員1人の足にケガを負わせた。その後タクシーで移動し、市中心部にある裁判所でも複数回発砲、女性職員4人が軽傷を負った。

男はその後、アテネから約200キロ離れた西部パトラのホテルで逮捕された。検察が殺人未遂や銃所持などの罪で起訴している。

弁護士によると、男は今回の行動について、「抗議と絶望の行為」だったと説明している。男はかつて米シカゴで40年間エンジニアとして働いていたが、帰国後に申請した年金が却下されていたという。また過去に精神科施設に入院したこともあったとされる。

こうした事情から、個人的な不満と制度への不信感が事件の引き金となった可能性が指摘されている。公共サービスの対応や社会保障制度への不満が背景にあるとの見方は、事件後の社会的反応にも表れている。

実際、発砲があった社会保障機関では職員が抗議のストライキを実施し、安全対策の不備や慢性的な人員不足への懸念を訴えた。現場では警備体制の脆弱さが以前から問題視されており、今回の事件を機に職員の不安が一気に噴出した形だ。

政府も対応を迫られている。首相府の報道官は裁判所の警備に「弱点」があったことを認めつつ、ギリシャ全体としては安全が保たれていると強調した。一方で、公共施設における警備体制の見直しは避けられない情勢となっている。

今回の事件は単なる個人の暴発にとどまらず、社会保障や行政サービスに対する不満が暴力という形で表出した点で重い意味を持つ。高齢の容疑者による犯行という点も社会に衝撃を与えており、高齢化が進む欧州社会における孤立や不満の蓄積という問題も浮き彫りにした。

捜査当局は引き続き動機や経緯の詳細解明を進める方針だが、公共サービスの質や安全対策への信頼回復が今後の大きな課題となる。今回の事件は社会のひずみが個人の極端な行動として現れる危険性を示したと言える。

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