ロイター通信/ナゴルノ・カラバブ防衛軍

11月9日、アルメニア、アゼルバイジャン、そしてロシアは、ナゴルノ・カラバフの紛争を終結させる和平協定に調印した

アルメニアのニコル・パシニャン首相は協定について、「受け入れがたく、非常に苦痛」と述べた。

9月27日から始まったナゴルノ・カラバフをめぐる紛争は収まる気配を見せず、数万人が非難を余儀なくされている。

ナゴルノ・カラバフは公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている。

1988~1994年の紛争では約3万人が死亡。100万人(推定)が国内避難民になり、停戦協定は結んだが和平には至っていなかった。

紛争仲介にあたる欧州安全保障協力機構(OSCE)ミンスク・グループを率いるアメリカ、ロシア、フランスは9月27日の紛争再燃以来、何度も停戦交渉を試みたが、いずれも失敗に終わっていた。

合意内容

和平協定は現地時間11月10日01:00に発効する。

アゼルバイジャン政府は、紛争中に奪取したナゴルノ・カラバフの一部地域を保持する

一方、アルメニアは今後数週間でいくつかの地域から撤退することに同意した。

ロシアのウラジミール・プーチン大統領はテレビ演説の中で、「ロシアの平和維持軍1,960人を最前線に配備し、パトロールを行う」と述べた。

演説に加わったアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領によると、「トルコの平和維持軍も監視プロセスに加わる」という。

トルコはアゼルバイジャン軍にドローンや長距離ミサイルなどを提供している。

2020年10月23日 ロイター通信/アゼルバイジャン、ギャンジャ市、アゼルバイジャン軍の兵士

アリエフ大統領は和平協定について、「アルメニアの降伏に相当する」と語った。

アルメニアのパシニャン首相は、「戦闘状況の詳細な分析と専門家との話し合いに基づき、同意した」と声明の中で述べている。

ニコル・パシニャン首相:
「勝利ではない。しかし、自分が敗北したと認めない以上、敗北ではない」

ナゴルノ・カラバフの大統領(自称)、アライク・ハルチュニヤン氏は、「できるだけ早く戦争を終結させたいと思い、同意した」と述べた。

地元メディアによると、アルメニアの首都エレバンでは、和平協定に抗議する人々が集まっているという。抗議者たちは議会や政府庁舎に押し入り、「私たちはナゴルノ・カラバフを諦めない」と叫んでいた。

2020年11月9日 ロイター通信/アルメニア、首都エレバン、和平協定に抗議する人々

この和平協定でアルメニア人は領土を失った。

ナゴルノ・カラバフ第二の都市シュシャは、先日の戦闘でアゼルバイジャン軍に占領されている。

9月27日から始まった戦闘の正確な死者数は分かっていない。両軍は民間人への攻撃を否定しているが、少なくとも数十人の死亡が確認されている。

アルメニア議会の様子

ナゴルノ・カラバフについて知っておくべきこと

・2020年11月9日、アゼルバイジャンの領土であるナヒチェヴァン自治共和国付近を飛行していたロシアの軍用ヘリ「Miー24」がミサイル攻撃を受け墜落。アゼルバイジャンはロシアに対し、誤った撃墜したと謝罪した。

・2020年11月8日、アゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフの戦略的に重要な町、シュシャをアルメニア軍から奪取。

・2020年11月、中東の過激派勢力2,000人が紛争に加わったと伝えられている。アルメニアはアゼルバイジャンの同盟国、トルコが関与したと非難。

・2020年10月28日、アゼルバイジャンのバルダ県への空爆(クラスター爆弾)で民間人21人が死亡。

・2020年10月25日、アメリカの仲介による停戦合意が破綻。戦闘再開。

2020年10月25日、アメリカの仲介でアルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意

ロシアのプーチン大統領によると、9月末からの戦闘で少なくとも5,000人が死亡。.

2020年10月17日。10月9日の停戦合意は破綻し、民間人13人が死亡、40人以上が負傷した。

・約4,400平方キロメートルの山岳地帯。

・キリスト教のアルメニア人とイスラム教徒のトルコ人が生活していた。

・ソビエト連邦時代、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの自治区に加えられた。

公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている

・現在、ナゴルノ・カラバフは分離主義勢力(自称当局)に占領されている。

・ナゴルノ・カラバフの大統領(自称)はアライク・ハルチュニヤン。

自称当局は、アルメニアを含む全ての国連加盟国に認められていない

・1988年から1994年の紛争で約3万人が死亡、推定100万人が避難を余儀なくされた。

・1994年の停戦合意後も膠着状態は続いていた。

・アルメニアは分離主義勢力(自称当局)を認めていない。

・アゼルバイジャンは「分離主義勢力=アルメニア軍」と認識している。

・トルコはアゼルバイジャンを積極的に支援している。

・ロシアはアルメニアに軍事基地を持っている。

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