11日、首都エレバンに集まったアルメニア市民は、ナゴルノ・カラバフ紛争を終結させたアゼルバイジャンとの和平協定に抗議した。
和平協定は「アルメニアの降伏宣言」と呼ばれ、市民は「領土をアゼルバイジャンに明け渡した」ニコル・バイニャン首相の辞任を求めている。
・アゼルバイジャンとアルメニアがロシアの仲介で和平協定に調印
アルメニアのメディアによると、抗議活動中に100人以上が拘束され、その後釈放されたという。
暴徒化した一部の抗議者たちは議会を占領し、首相の辞任を求めた。
和平協定(11月10日01:00発効)
・アゼルバイジャンは、紛争中に奪取したナゴルノ・カラバフの一部地域を保持。
・アルメニアは今後数週間の間に、ナゴルノ・カラバフのいくつかの地域から撤退する。
・ロシアの平和維持軍1,960人を最前線に配備し、違法行為を防ぐ。
・トルコの平和維持軍も監視プロセスに加わる。
・ナゴルノ・カラバフの「解放エリア」にロシアとトルコの統制センターを設置する。
首都エレバンで野党が主催した抗議集会には、約10,000人が参加したと伝えられている。
抗議者たちはパシニャン首相の辞任を要求、「立ち去れ」「裏切り者」などと声を上げた。
ナゴルノ・カラバフをめぐる戦闘は9月27日に始まり、アメリカ、ロシア、フランスの停戦交渉はいずれも失敗に終わったが、今回の和平協定は機能したようである。
両国はウラジミール・プーチン大統領の要求を受け入れた。ただし、アゼルバイジャンは自国に有利な協定を結び、アルメニアは領土を失っている。
ナゴルノ・カラバフの自称大統領、アライク・ハルチュニヤン氏は10日に、「同じペースで戦闘が続いていれば、数日中にすべてを失っていただろう」と述べた。
パシニャン首相はフェイスブックに投稿したビデオメッセージの中で、「個人的にも国民にとっても非常に苦痛、大惨事だ」と不満を口にした。
ニコル・バイニャン首相:
「市民と軍隊の完全な崩壊を避けるために署名した」
一方、アルメニアの野党政治家たちは協定を危険かつ「屈辱的」と呼び、首相に辞任を求めた。
議会の構成は与党が132議席中88議席を押さえており、与党議員は抗議活動に反応を示していない。
抗議者がアルメニアの議会を占領
ナゴルノ・カラバフについて知っておくべきこと
・11月9日、アルメニア、アゼルバイジャン、ロシアがナゴルノ・カラバフの紛争を終結させる和平協定に調印。
・2020年11月9日、アゼルバイジャンの領土であるナヒチェヴァン自治共和国付近を飛行していたロシアの軍用ヘリ「Miー24」がミサイル攻撃を受け墜落。アゼルバイジャンはロシアに対し、誤った撃墜したと謝罪した。
・2020年11月8日、アゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフの戦略的に重要な町、シュシャをアルメニア軍から奪取。
・2020年11月、中東の過激派勢力2,000人が紛争に加わったと伝えられている。アルメニアはアゼルバイジャンの同盟国、トルコが関与したと非難。
・2020年10月28日、アゼルバイジャンのバルダ県への空爆(クラスター爆弾)で民間人21人が死亡。
・2020年10月25日、アメリカの仲介による停戦合意が破綻。戦闘再開。
・2020年10月25日、アメリカの仲介でアルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意。
・ロシアのプーチン大統領によると、9月末からの戦闘で少なくとも5,000人が死亡。.
・2020年10月17日。10月9日の停戦合意は破綻し、民間人13人が死亡、40人以上が負傷した。
・約4,400平方キロメートルの山岳地帯。
・キリスト教のアルメニア人とイスラム教徒のトルコ人が生活していた。
・ソビエト連邦時代、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの自治区に加えられた。
・公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている。
・現在、ナゴルノ・カラバフは分離主義勢力(自称当局)に占領されている。
・ナゴルノ・カラバフの大統領(自称)はアライク・ハルチュニヤン。
・自称当局は、アルメニアを含む全ての国連加盟国に認められていない。
・1988年から1994年の紛争で約3万人が死亡、推定100万人が避難を余儀なくされた。
・1994年の停戦合意後も膠着状態は続いていた。
・アルメニアは分離主義勢力(自称当局)を認めていない。
・アゼルバイジャンは「分離主義勢力=アルメニア軍」と認識している。
・トルコはアゼルバイジャンを積極的に支援している。
・ロシアはアルメニアに軍事基地を持っている。