◎一部の専門家はパリ五輪が2年前の東京大会のようなスキャンダルに見舞われるのではないかと懸念している。
国際オリンピック委員会(IOC)は8日、「パリ五輪にロシア代表はいらない」と発言したパリ市長に反論した。
昨年の大統領選にも出馬したパリのイダルゴ(Anne Hidalgo)市長は7日、地元ラジオ局のインタビューでロシアおよびベラルーシ選手の大会出場を認めるべきではないと言明した。
バッハ(Thomas Bach)会長率いるIOC指導部は「中立の旗の下」、両国選手の出場を認める可能性を示唆している。
イダルゴ氏は、「ウクライナに爆弾が降り注ぐ中、ロシアの選手が何事もなかったかのようにパリ市内をパレードするなど考えられない」と述べた。
ウクライナ政府はロシア・ベラルーシ代表の大会出場が認められればボイコットすると言明し、同盟国にもボイコットを働きかけるとIOCに圧力をかけている。
ポーランド、バルト諸国、北欧諸国はウクライナを支持し、ロシア・ベラルーシ代表の中立参加を検討するIOCに反発。ボイコットもあり得ると警告した。
これらの国々は10日に予定されている英政府主催のオンライン会議でこの問題について協議する。
IOCは8日、国籍を理由に出場を禁じるのは差別にあたるという人権専門家の助言を引用し、その立場を明確にした。
IOCは声明の中で、「パリ大会でロシアおよびベラルーシの代表が自国の国旗を掲げる計画はない」としたうえで、「考えられる唯一の選択肢は、昨年の全仏オープンや今年の全豪オープンで採用されたような、中立の選手として出場することだ」と述べた。
テニスと自転車競技はロシア・ベラルーシ選手の出場を認める数少ないスポーツのひとつである。
IOCは昨年2月、ロシア・ベラルーシ両国を国際大会から排除するよう競技団体に勧告したが、パリ五輪の予選が盛り上がるにつれ、態度を軟化させた。
両国の出場を認めるか否かは個々のスポーツ運営団体に委ねられる。夏季五輪国際競技連盟連合(ASOIF)は来月3日の会合でこの問題について議論する予定だ。
仏政府の報道官は2日の記者会見で、「政府はパリ五輪を対象とする対ロシア制裁の可能性を除外していない」と述べた。
一部の専門家はパリ五輪が2年前の東京大会のようなスキャンダルに見舞われるのではないかと懸念している。
東京大会の組織委員会や関係者は複数の談合事件で告発され、検察によると、その規模は400億円に上るとみられる。