◎最大野党「不服従のフランス」が主導する左派連合Nupesは2万件以上の修正案を提出し、与党・共和国前進に立ちはだかっている。
2023年2月11日/フランス、パリで行われた年金改革に抗議するデモ、機動隊(Michel Euler/AP通信)

フランスの国民議会(下院)で15日、マクロン政権の年金改革法案をめぐる激しい攻防が展開され、与野党議員による激しい罵り合いがライブ配信された。

地元メディアは「ここ数年で最も刺激的な戦い」「不確実な未来」「醜い国会」などと報じている。

政府は定年年齢を62歳から64歳に引き上げたいと提案しているが、野党は「ダメだ!」と反発し、極左政党「不服従のフランス」のメランション(Jean-Luc Melenchon)氏は「55歳に引き下げよう」と提案。極右「国民連合」のル・ペン(Marine Le Pen)党首は「あいつ(マクロン大統領)が諦めるまで抵抗する」と誓った。

政府の提案が承認されれば、年金を満額受け取るために求められる就労期間は最低43年になる。

下院は先週、法案の審議をスタートさせた。

不服従のフランスが主導する左派連合Nupesは2万件以上の修正案を提出し、与党・共和国前進に立ちはだかっている。

政府は17日までに審議を終えたいとしていたが、2万件をチェックできる可能性はゼロに等しい。政府はこの戦術を糾弾した。

ボルヌ(Elisabeth Borne)首相はこう呼びかけた。「なんでですか?修正案が何度も何度も提出され、忌まわしい個人攻撃が行われ、審議中断を余儀なくされています!」

下院はこの数日、怒鳴り合い、割り込み、座り込み、大臣への侮辱発言など、複数の事件に見舞われている。

Nupesの議員はデュソプト(Olivier Dussopt)労働・雇用・社会復帰相の頭部を模したサッカーボールの写真をツイートし、15日間の登院停止処分を受けた。

不服従のフランスの議員は14日、労災が増加している問題についてデュソプト氏が発言すると、「この人殺し」と叫び、大混乱を引き起こした。この議員はその後、「言い過ぎたかもしれない」と謝罪した。

17日までに審議が終わらない場合、法案は採決なしで上院に送られる。

マクロン(Emmanuel Macron)大統領の共和党前進は昨年の議会選で何とか第一党を維持したものの、過半数を失った。

国民議会のブロンピベ(Yael Braun-Pivet)議長はRTLラジオのインタビューで、「事態は深刻だ」と語った。「我々は1週間にわたって、国民の期待に応えるような民主的な議論を行うことができていません...」

ブロンピベ氏は先週、この法案に関わる議員への匿名のボイスメールや落書き、脅迫状などが届いていると報告した。

2023年2月14日/フランス、パリの国民議会、デュソプト労働・雇用・社会復帰相(Thibault Camus/AP通信)
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