◎2020年8月4日にベイルート港で発生した大爆発は歴史上最大の非核爆発のひとつと考えられている。

レバノン当局は23日、首都ベイルート港の穀物サイロの一部が崩壊したと発表した。

このサイロの近くに保管されていた硝酸アンモニウム約2750トンが港湾都市ベイルートの港と街を破壊してから2年経つ。

2020年8月4日にベイルート港で発生した大爆発歴史上最大の非核爆発のひとつと考えられている。爆心地周辺の建物はほぼ全壊し、衝撃波は200km先のキプロスに到達した。

公式記録によると、犠牲者は少なくとも216人、負傷者は数千人、推定30万人が自宅を失った。

報道によると、23日早朝に崩壊したサイロの北側部分は1カ月ほど前に発生した火災で劣化が進み、傾きつつあったという。

レバノン政府が委託した専門家チームのフランス人担当者はAP通信の取材に対し、「崩壊の数時間前、22日深夜に北側部分が大きく傾き、火災が激しくなった」と説明した。「私たちは遅かれ早かれこうなると予想していました。サイロに近づくのは自殺行為です...」

政府報道官は23日、国営テレビの取材に対し、「南側エリアの崩壊を防ぐ方法を検討したい」と述べた。また報道官は付近の住民にマスクを着用し、崩壊の衝撃で拡散したホコリから身を守るよう呼びかけた。

政府は今年4月にサイロの取り壊しを決めたが、爆発事故の遺族や生存者から抗議を受け、決定を保留した。

遺族らはサイロ内に爆発事故の証拠が残っている可能性があると指摘している。

北側の火災は先月から燃え続けている。消防は崩壊の恐れがあるとしてサイロに近づけずにいる。

爆発事故で負傷した人々や港周辺の住民はこの火災を見ていると、2年前の悪夢を思い出すと述べている。

政府は先月下旬、港周辺の住民に対し、風通しの良い屋内にとどまるよう求めた。この警告から数日後、北側の一部が初めて崩壊した。さらにその数日後、爆発事故から2年となる8月4日にサイロのおよそ4分の1が崩壊。8月21日には火災がサイロの大部分に拡大したと報告されている。

一方、レバノンを支配するイスラム過激派組織ヒズボラの政治家は司法の調査を妨害し、責任を当時の港湾当局者に押し付けたいと考えている。当時の政府高官は倉庫に保管されていた硝酸アンモニウムの存在を認識していたが、放置し大惨事を引き起こしたのである。

事故から2年経過したにもかかわらず、「誰がアンモニウムの保管を許可したのか」「なぜ政府は危険物を首都の港に保管すべきではないという当局の警告を再三無視したのか」など、問題の大半が不明のままである。

遺族はヒズボラが司法の調査を妨害していると非難し、責任の所在を明確にするよう求めている。

2020年8月4日/レバノン、ベイルート港の爆発地点周辺近く(Hassan Ammar/AP通信)
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