◎タジキスタン国家保安委員会は4日の声明で、タリバンの戦闘員に圧倒されたアフガニスタン軍の兵士300人以上がバタフシャーン州から国境を越えたと述べた。
2021年7月4日/アフガニスタン北東部のバダフシャーン州近くの道路、治安部隊の車両(Nazim Qasmy/AP通信)

アフガニスタンの現地メディアによると、タリバンは北東部の一部地域を一夜で占領し、治安部隊を国外に追い払ったという。

タジキスタン国家保安委員会は4日の声明で、タリバンの戦闘員に圧倒されたアフガニスタン軍の兵士300人以上がバタフシャーン州から国境を越えたと述べた。地元メディアによると、兵士たちは7月3日の現地時間午後6時30分頃にタジキスタンに入ったという。

タジク当局は、「人道危機を考慮し、兵士の入国を許可した」と述べた。

ジョー・バイデン大統領が4月にアフガン完全撤退を発表して以来、タリバンは各地で治安部隊や民間人に対する攻勢を強めている。

タリバンは2001年のアフガン戦争開始直後に奪われた北部地域を取り戻すことを最優先事項のひとつに掲げている。

タリバンの侵攻は加速しており、これまでに少なくとも421地区と地区センターの約3分の1が支配されたと伝えられている。

バタフシャン州議会のモヒブ・ウル・ラーマン議員は4日、「北東部の占領は時間の問題だった」と述べた。「タリバンの兵力は州兵を圧倒しています。州兵の士気は補給不足などの影響で下がる一方でした。結果、兵士たちは土地を捨てて隣国に逃亡し、タリバンは簡単に地域を占領しました」

バタフシャーン州

ラーマン議員によると、過去3日間で同州の10地区がタリバンに支配され、そのうち8地区の兵士は戦うことなく撤退したという。また、前哨基地を守っていた数百人のアフガン兵、警察、諜報部隊も降伏し、バタフシャーン州の州都ファイザバードに逃亡したことを明らかにした。

ラーマン議員は、「4日に州都ファイザバードの防衛を強化する緊急会議が開催されましたが、一部の高官は会議に出席せず、首都カブールに逃亡しました」と述べた。

アフガニスタン政府は先月下旬、極めて脆弱な国軍を支援するために民兵を復活させると発表したが、ラーマン議員は「民兵の中途半端な戦いでタリバンを抑えることはできない」と警告した。

伝えられるところによると、タリバンの戦闘員たちは隣国との国境沿いを進み、先月、地域の主要な交易地点であるウズベキスタンとの国境に位置するクンドゥズ州の町イマーム・サーヒブを支配したという。

バダフシャーン州は2011年の自爆テロ攻撃で死亡したブルハーヌッディーン・ラッバーニー前大統領の故郷であると同時に、重要地域のひとつと考えられている。前大統領の息子のサラフッディーン・ラッバーニー氏は現在、国民和解高等評議会の委員を務めている。

内務省は3日の声明で「敗北は一時的なもの」と述べたが、地域の支配を取り戻せるかどうかは不明。

タリバンのスポークスマンは4日、北東部地域の支配を確立したと述べ、戦闘はほとんど発生しなかったと完勝をアピールした。

米軍とNATO軍は9月11日までにアフガニスタンから完全撤退する。

2021年7月4日/アフガニスタン北東部のバダフシャーン州、治安部隊とタリバンの戦闘で犠牲になった民間人の葬儀(Nazim Qasmy/AP通信)
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