マラリアに感染し、毎年40万人以上が命を落とす

Microsporidia MBという名の微生物

ケニアとイギリスの研究チームは、蚊がマラリアに感染(媒介)できなくなる微生物”Microsporidia MB”を発見した。研究者たちは「この発見により、マラリアを制御できるかもしれない」と述べた。

研究者たちは、この微生物の放出方法を調査、検討中である。以下の2案を主要戦略と想定している。
①微生物を含む胞子を形成し、大気中に放出する
②オスの蚊に微生物を投与、感染させたうえで、自然界に放出する

”Microsporidia MB”は、昆虫の腸と生殖器に生息する微生物である。ケニアのビクトリア湖ほとりで発見され、それに感染した蚊を調査したところ、マラリアを媒介する個体は1匹もいなかったという。さらにその微生物には、蚊を保護する機能があることも確認されている。すなわち、自然界に放出しても、生態系に影響を与える可能性は低い、ということだ。

ケニアの国際昆虫生理学生態学センター(ICIPE)のジェレミー・ヘレン博士はBBCの取材に対し、「これまでのところ、"Microsporidia MB"に感染した蚊は100%マラリアを媒介できなくなった。マラリアに苦しむ人々を救うと同時に、この病を根絶することができるかもしれない」と述べた。

毎年40万人以上がマラリアに感染し命を落としている。その多くが5歳未満の幼児であり、世界の医療関係者は蚊が媒介する病と長年戦ってきた。

蚊を遮断するネットと殺虫剤の復旧などにより、一昔前に比べると死者は減少している。しかし、これらの対策には限界があり、新たな取り組み、感染を防ぐ新たなツールが熱望されていた。

大きな一歩

解決・調査しなければならない問題はあるが、それらをクリアできれば、人類にとって大きな一歩になるだろう。

”Microsporidia MB”は蚊の免疫システムを刺激し、体内に取り込まれたマラリアを撃退することができる。また、一度この微生物に感染した蚊は、一生マラリアを媒介できなくなる可能性が高いという。これらは実験で明らかになったことであり、”遮断効果”がより長く続くことを示している。

研究者たちは、「ある特定の地域で効果を上げるためには、その地域の約40%の個体に”Microsporidia MB”を投与、感染させなければならない」と考えている。

微生物は成虫した蚊たちの間で媒介される。さらに、雌の生む卵にもそれは含まれており、うまく自然界に放出できれば、蚊の世界で”Microsporidia MB”のパンデミックが発生するという。しかも、既に述べた通り、その微生物は蚊を保護する機能も有しているので、生態系に影響を与える可能性は低い(調査中)。

グラスゴー大学ウイルス研究センターのスティーブン・シンキンス教授はBBCの取材に対し、「これは新しい発見である。マラリアを制御できる可能性を見出し、研究者たちは皆興奮している。人類を苦しめ続けてきた病を根絶できるかもしれない」と述べた。

微生物を使用した疾病管理法は、これまでにもいくつか発見されている。ポルバキアと呼ばれる細菌は、蚊のデング熱媒介を難しくする効果が確認されている。

研究者たちは、Microsporidia MB”が自然界にどのように広がり、どんな影響を与えるかを調査すべく、様々なテストを計画している。ただし、この微生物に感染した”野生の蚊”が既に発見されているため、全く新しいアプローチではない。

生態系に影響を与えずにマラリアを混雑すれば、歴史的快挙として語り継がれるだろう。研究者たちは、病に苦しむ貧困地域の子供たちを救うべく、調査を進める。

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