コロナショック

パンデミックの第二波に苦しめられているスペインは、壊滅的な経済縮小に陥っている。

同国の第2四半期GDP(4月~6月)は-18.5%を記録し、第1四半期の3カ月からー5.2%悪化した。

ユーロ圏で最悪のパフォーマンスを見せたスペインに続き、他国の発表する数字も悲惨なものばかりである。結果、ユーロ圏全体の第2四半期GDPは過去最高を大幅に更新するー12.1%だった。

フランス統計局は、4月に底を打った経済活動はロックダウンの緩和が始まった5月以降徐々に回復したものの、依然として通常を大きく下回っていると発表。第2四半期GDPはー13.8%、過去最悪の落ち込みだった。

欧州初のパンデミックに見舞われたイタリアも同様。同国の経済学者は、-12.4%という記録的な落ち込みも「予想通りの結果、縮小しない方がおかしい」と述べた。

なお、EU全体の第2四半期GDPはー11.9%だった。

欧州委員会の統計を担当するユーロスタットによると、今回のマイナス成長は統計を開始した1995年以来、過去最悪とのこと。

経済アナリストたちは、ユーロ圏の経済縮小を「当然」と主張。コロナショック後、経済活動に深刻な影響が出ていることは誰の目にも明らかだった。

パンデミックに伴う欧州封鎖は非常に厳しく過酷なものだった。ありとあらゆる店舗が閉鎖され、従業員は職を失い、人々はコロナへの感染を恐れた。

5月頃からロックダウンの緩和、解除が始まり、経済は徐々に動き出しつつあるものの、人々は先行き不透明な現状を警戒し、ものを消費しなくなった

スペインでは、輸送、レストランなどの飲食店、宿泊施設を含むサービス産業の減少が著しい。2020年上期だけで50%以上の縮小を記録し、中小零細企業は虫の息である。

イギリス、スペイン、フランスほどパンデミックの影響を受けなかったドイツですら、過去最悪のマイナス成長を記録。世界貿易のロックダウンは、欧州最大の輸出国に大ダメージを与えた。

ドイツの第2四半期GDPはー10.1%。当初は5月にロックダウンを解除、プロスポーツ等も活動を再開したため、一定の回復を見せると予想されていたが、過去最高の落ち込み幅を記録した。

今回、飛びぬけて悪い成績だったスペインでは、過去6年間の成長が雲散霧消した。これまでのところ、同国のGDPは今年だけで5分の1以上縮小している。

サービス産業の縮小が傷跡をより深くする要因だった。ロックダウンは輸送、レストランなどの飲食店、宿泊施設を叩き伏せ、解除以降も顧客はほとんど戻っていない。

さらに、第二波がじわじわと蔓延しつつあることで、感染を恐れる人々は外出を自粛。ホリデーシーズンの観光地は観光客の回復を信じていたが、希望は打ち砕かれた。

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トランプショック

現在、アメリカは感染爆発が進む中でロックダウンを解除し、経済の立て直しを図っている。結果、感染者数および死者数の増加に歯止めがかからなくなった。

アメリカの第2四半期GDPはー32.9%。一部の経済学者はこの壊滅的なマイナス成長を「トランプショック」と呼んだ。

この数字は、統計を取り始めた1947年以来、過去最悪。1958年に記録したー10%を3倍以上を上回り、トランプ大統領が任期中に押し上げたと主張する経済成長は爆散した。

一部のエコノミストによると、第2四半期の急降下は想定通り。経済活動が本格的に動き出した6月以降の動向を反映する第3四半期でV字回復するだろうと主張した。

しかし、第一波を抑えることに失敗した結果、経済活動の中心地であるカリフォルニア州などを筆頭に、中西部エリアで感染拡大が続き、一部の地域ではロックダウン再発出に至った。

失業手当の申請数は減少しつつあった。しかし、先週1週間で140万人以上に急増。ロックダウンの再発出や企業活動の低迷、政府の思惑通りに顧客は戻らず、店をたたむ中小零細企業が激増した。

連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、さらなる景気後退に危機感を示した。さらに、第2四半期GDPの記録的なマイナスを「私たちの人生の中で最も深刻なもの」と表現、アメリカ国民と企業がこの危機を乗り切るためには、連邦政府のさらなるサポートが必要である、と述べた。

アメリカ商工会議所の最高政策責任者を務めるニール・ブラッドリー氏は記者団に対し、「第2四半期GDPの歴史的な落ち込みは、国民にショックを与えた。この耳障りなニュースが議会の動きを早めてくれると信じている」と語った。

国際通貨基金(IMF)は、2020年の世界成長をー4.9%と予想している。先述の通り、ユーロ圏の第2四半期GDPは軒並み二桁減少。メキシコも二桁の減少を発表した。

前年同期と比較すると、アメリカの経済は9.5%縮小した。輸出と輸入はどちらも20%以上減少、個人消費もー10.7%を記録した。

トランプ大統領は、5月と6月での経済活動V字回復を狙っていた。しかし、ロックダウンの解除、1兆ドル規模の巨大パッケージを導入したにも関わらず、1,500万人以上の雇用が失われ、今回のマイナス成長発表、国民は失望した。

米国国勢調査(2020 Census)によると、パンデミック以降、アメリカで生活する成人の50%以上が収入の減少に見舞われたという。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスの副社長を務めるマダヴィ・ボキル氏はBBCの取材に対し、「5月と6月に経済、雇用は回復した。しかし、それ以前に受けたダメージは甚大、経済損失は計り知れないものになった」と述べた。

8月1日、約3,000万人の失業者に毎週支払われている600ドルの失業手当が満了を迎えた。

民主党のナンシー・ペロシ下院議長は、共和党の求める短期取引には応じなかった。

ペロシ議長は、完全なる合意が得られるまで給付を1週間延長したい、という共和党の提案を拒否。失業手当の打ち切りが決まった。

民主党は、「今後4カ月の失業手当を週600ドルから400ドルに引き下げる」という共和党の提案を却下した。

民主党は少なくとも来年まで週600ドルの失業手当を維持したいと考えており、「4か月での打ち切り」を希望する共和党の案を覆すべく強烈なプレッシャーをかけた。

ー32.9%の衝撃に叩き伏せられたアメリカ。週600ドルの失業手当がなくなると、失業者たちはローンの支払い、生活再建への道を閉ざされるだろう。

崖っぷちに追い詰められたトランプ大統領は、民主党上院のチャック・シューマー議員とペロシ下院議長をツイッターで攻撃した。

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