◎国連の機関は7月12日に公表した報告書の中で、昨年世界の人口の約10%(7.2億人~8.1億人)が栄養不足に陥っていたと述べた。
2021年7月10日/ナイジェリア、ラゴスのフードバンク周辺、提供された食料を運ぶ人々(Getty Images/AFP通信)

国連の報告によると、コロナウイルスの大流行は世界的飢餓を劇的に悪化させたという。

国連の機関は7月12日に公表した報告書の中で、昨年世界の人口の約10%(7.2億人~8.1億人)が栄養不足に陥っていたと述べた。

飢餓の急増が確認された地域はアフリカで、人口の約21%(2.8億人)が栄養不足に苦しんでいると推定された。

アントニオ・グテーレス事務局長は12日、「この悲劇的なデータは昨年世界で多くの子供を含む7億から8億人が飢餓に直面したことを示しています」と警告した。

報告書によると、世界人口の約30%(24億人)が年間を通じて十分な食料を手に入れることができなかったという。「中等度または重度の食料不安」として知られているこの指標は、過去5年間の合計とほぼ同じ水準まで急増した。

グテーレス事務局長は声明の中で、「1960年代半ば以降、世界の食料生産は300%増加したにもかかわらず、いまだに栄養失調は平均余命の短縮に寄与しています」と述べた。「世界の一部は豊かになりましたが、栄養不足は急増し、数十億人が飢餓に苦しんでいます。これは受け入れがたい...」

多くの栄養を必要とする子供たちも深刻な影響を受けている。報告書によると、5歳未満の子供約1億4900万人が発育障害を抱え、4500万人以上がひどくやせ細っているという。また、一部の国の子供約3900万人は太り過ぎていると指摘した。

国連は調査結果の中で、「コロナウイルスは残酷な不況を引き起こし、多くの人々が食料を得られず、飢えた」と述べた。「厄介なことに、昨年飢餓は飛躍的に急増し、世界の人口増加を上回りました...」

報告によると、2020年に栄養不足に直面した人の割合は世界人口の約9.9%で、2019年の8.4%から大きく増加したという。

地域別にみると、栄養不足に苦しんでいる人が最も多い地域はアジアで約4億1800万人、南米とカリブ海地域は約6,000万人だったという。

国連は2030年までに飢餓ゼロを達成するという目標は厳しい現実に直面していると述べた。現在の傾向を考慮すると、ゼロを達成することはほぼ不可能で、2030年時点で6億6000万人がまだ栄養不足に苦しんでいる可能性が高いという。

グテーレス事務総長は今月末にローマで行われる首脳会談の中で食糧システムの変革などについて話し合い、9月に世界規模のフードシステムサミットを開催すると明らかにした。「食糧システムを変革することによって、飢餓、気候緊急緊急事態、信じられないほどの不平等、紛争にどのように対処しなければならないかを検討します...」

今回公表された世界の食料安全保障と栄養の現状報告書は、ローマに本拠を置く食糧農業機関(FAO)、世界食糧計画(WFP)、国際農業開発基金(IFAD)、国連児童基金(ユニセフ)、世界保健機関(WHO)によって作成された。

<報告の要点>
・世界の人口の約10%(7.2億人~8.1億人)が栄養不足。
・アジアの栄養不足は約4億1800万人。
・アフリカの栄養不足は約2億8200万人。
・南米とカリブ海の栄養不足は約6000万人。
・昨年、24億人が十分な食料を得られなかった。(1年で3.2億人増加)
・発育障害に苦しむ子供は1億4900万人。
・3億7000万人の子供が学校給食にアクセスできなかった。
・1億5000万人の若者が学校給食にアクセスできなかった。

2021年5月8日/エチオピア北部ティグライ地方の難民キャンプ(Getty Images/AFP通信)
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