◎エルサルバドルは今月、世界で初めてデジタル通貨を法定通貨に採用する法案を可決した。
6月16日、世界銀行はエルサルバドル政府のビットコイン法定通貨実装に向けた支援要請を却下したと発表した。
世界銀行の広報担当者はロイター通信の取材に対し、「エルサルバドル政府はビットコインの実装に向けた支援を私たちに求めてきましたが、ビットコインの透明性などの欠点を考えると、世界銀行がサポートできることはありません」と述べた。
エルサルバドルのアレンハンドロ・ゼラヤ財務相は16日、「米ドルと並行してビットコインを法定通貨として取り扱うために、世界銀行に技術支援を求めた」と認めた。
またゼラヤ財務相は国際通貨基金(IMF)との実装に向けた交渉は成功したと述べたが、IMFは先週、ビットコインの実装にはマクロ経済、財政、法的な問題が見られると述べ、懸念を表明していた。
しかし、ゼラヤ財務相は、「IMFはビットコインの実装に反対しなかった」と主張した。ロイター通信によると、IMFは大臣の発言に関するコメントを拒否したという。
エルサルバドルは今月、世界で初めてデジタル通貨を法定通貨に採用する法案を可決した。政府は3カ月以内にビットコインを法定通貨にすると約束したが、世界銀行の決定で雲行きは怪しくなってきた。
支持率90%以上を維持するナジブ・ブケレ大統領の新アイデア党(ヌエバスのアイデア)は、議会で単独過半数を占めている。
ブケレ大統領は議会演説で、「政府は歴史を作ります」と力強く語った。「ビットコインは国外で生活するエルサルバドル国民の送金を容易にするでしょう...」
この法律に基づき、ビットコインは議会承認から90日以内に米ドルと並んでエルサルバドルの法定通貨になる予定。
法律の施行に伴い、国内の全ての企業は商品またはサービスをビットコインで取引できるようする必要がある。ただし、システム等の影響で導入できないものはひとまず除外されるという。
エルサルバドルの経済はGDPの約20%を占める国外からの送金に大きく依存している。記録によると、国外で生活する200万人以上のエルサルバドル人は毎年自国に多くの現金を送っており、総額は40億ドル(4,500億円)以上にのぼるという。