◎バルバドスと東カリブ海の国連常駐コーディネーター、ディディエ・トレバック氏は当局者の情報と専門家の意見に基づき、噴火の影響で漁業や農業などによる収入や資産を失った約20,000人が食糧危機のリスクにさらされていると警告した。
4月14日、国連の当局者は、セントビンセントおよびグレナディーン諸島で発生したスフリエール山の爆発的な噴火により、人口の約20%が人道的危機に直面していると警告した。
スフリエール山の噴火は9日の現地時間午前9時前に発生した。気象当局によると、噴煙は高度10,000mに達し、火山灰は隣国の島々にも到達したという。これに伴い、危険エリア内の住民16,000~20,000人が避難を余儀なくされた。
バルバドスと東カリブ海の国連常駐コーディネーター、ディディエ・トレバック氏は声明で、避難した約6,000人の低所得者層への支援を強化しなければならないと述べた。「スフリエール山は少なくとも数週間から数カ月間は活発に活動すると予想されており、噴火の影響で働けなくなった一部の低所得者層の生活は一気に悪化する可能性があります」
政府の声明によると、政府の指定避難所(87カ所)に身を寄せた住民は約4,000人ほどで、その他は危険エリア外のホテルや友人宅などに避難したという。
トレバック氏は当局者の情報と専門家の意見に基づき、噴火の影響で漁業や農業などによる収入や資産を失った約20,000人が食糧危機のリスクにさらされていると警告した。「指定避難所の基本的なサービス(水、トイレ、公衆衛生対策など)は著しく欠けており、脆弱な住民は厳しい避難生活を余儀なくされています」
トレバック氏は、最優先事項は飲料水、次に避難所で利用できるベビーベッド、基本的な物資、衛生設備、衛生用品、仮設トイレなどを確保し、避難者が求めている最低限のニーズを満たす必要があると述べた。「政府はコロナウイルス対策とこれらの問題に対処しなければなりません。多くの医療施設は灰に覆われ、停電の影響で最低限の医療すら提供できない状態にあります」
ラルフ・ゴンサルヴェス首相は14日に地元のNBCラジオで放送された声明の中で、「住民はコロナウイルス対策を順守しなければならない」と述べた。
現地メディアによると、スフリエール山は9日以降も小規模な噴火を繰り返し、小規模な火砕流も確認されているため、政府は火口周辺の集落に残っている住民に避難を呼びかけているという。
西インド諸島大学地震研究センターのリチャード・ロバートソン博士はAP通信の取材に対し、「危険エリア内にとどまっている住民は速やかに避難しなければならない」と述べた。「火砕流が発生する前に避難しなければなりません。発生してから逃げても手遅れです」
気象当局によると、9日の噴火で火砕流は発生しなかったが、以降の小規模な噴火では火砕流を複数確認したという。ロバートソン博士は火山活動は数週間続く可能性が高いと予想しており、1902年の大噴火に匹敵する災害が発生してもおかしくないと警告した。
セントビンセント島の上下水道を管理するガース・ソンダーズ大臣は14日の声明で、「水道システムの復旧作業は順調に進んでいる」と述べた。「当局は住民に食べ物を提供する食料品店やパン屋の水道システムを優先的に修理しています」
一方、トレバック氏によると、国連は人道的危機の解決と早期復旧に向けた行動を間もなく開始するという。「国連は火山灰の除去と処分を支援するために、EUと協力して専門家を動員する予定です。世界は火山灰に覆われたセントビンセント島と他の島々を救うために行動しなければなりません」