◎アルメニアの国防省は、アゼルバイジャン軍が攻撃を開始したと述べた。
◎アゼルバイジャンの国防相は、自軍の兵士がアルメニア軍の「挑発」を阻止し、和平協定は回復したと述べた。
12月12日、アルメニアとアゼルバイジャン当局は、ナゴルノ・カラバフ紛争の和平協定に違反したとお互いを非難し、アゼルバイジャンの指導者は「鉄の拳でアルメニア軍を粉砕する」と脅した。
11月10日にロシアが仲介した和平協定は、約6週間にわたって繰り広げられた激しい戦闘を終結させた。
ナゴルノ・カラバフの分離主義勢力によると、12月11日深夜にアゼルバイジャン軍が攻撃を開始し、地元のアルメニア民兵3人が負傷したという。
和平協定を維持・監視するために配備されたロシアの平和維持軍は、ハドルト地域で停戦違反が発生したと報告した。
12日午後、アルメニアの国防省は声明で、アゼルバイジャン軍が攻撃を開始したと非難した。
これに対しアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は、「衝突の原因はアルメニアにある」と言及したうえで、「鉄の拳で頭を破壊する」と脅した。
イルハム・アリエフ大統領:
「紛争を再開してはならない。いかなる軍事行動も計画してはならない。非はアルメニアにある。私たちは黙ってはいない」
その後、アゼルバイジャンの国防相は声明で、自軍の兵士がアルメニア軍の「挑発」を阻止し、和平協定は回復したと述べた。
アルメニア当局は、アルメニアが唯一管理を許されたガドルト地域(ナゴルノ・カラバフ)のヒンタガー村とクサバード村の近くでも争いが起きていると報告した。
当局者によると、2つの村に通じる唯一の道路がアゼルバイジャン軍によって封鎖されたという。
ナゴルノ・カラバフは公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、1994年に終結した紛争以来、アルメニア民族軍の支配下に置かれていた。
今回の紛争は9月下旬から始まり、両軍合わせて5,000人以上が死亡したと伝えられている。
和平協定により、アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフの主要都市を取り戻した。
和平協定を仲介したロシアは停戦を監視するために、2,000人近くの平和維持軍を現地に配備した。
12月10日、アゼルバイジャン政府は軍事パレードで歴史的勝利を祝った。なお、パレードにはトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領も出席した。
一方、領土を奪われたアルメニア市民の一部は和平協定を「敗北宣言」と嘲笑し、ニコル・バシニャン首相の辞任を求めている。
和平協定(11月10日01:00発効)
・アゼルバイジャンは、紛争中に奪取したナゴルノ・カラバフの一部地域を保持。
・アルメニアはナゴルノ・カラバフのいくつかの地域から撤退する。
・ロシアの平和維持軍1,960人を最前線に配備し、違法行為を防ぐ。
・トルコの平和維持軍も監視プロセスに加わる。
・ナゴルノ・カラバフの「解放エリア」にロシアとトルコの統制センターを設置する。
ナゴルノ・カラバフについて知っておくべきこと
・2020年12月5日、アルメニア、ニコル・パシニャン首相の辞任を求める大規模な抗議活動が行われる。
・2020年12月1日、アゼルバイジャン政府、アルメニア軍から取り戻したナゴルノ・カラバフの一部地域の開拓を完了したと宣言。
・2020年11月16日、トルコ議会、アゼルバイジャンとアルメニアの和平協定を監視する平和維持軍派遣を承認。
・2020年11月16日、アルメニアのゾラブ・ムナサカニャン外相、辞任。
・2020年11月11日、アルメニア市民がアゼルバイジャンとの和平協定に抗議。国会を占領し、首相の辞任を求めた。
・2020年11月9日、アルメニア、アゼルバイジャン、ロシアがナゴルノ・カラバフの紛争を終結させる和平協定に調印。
・2020年11月9日、アゼルバイジャンの領土であるナヒチェヴァン自治共和国付近を飛行していたロシアの軍用ヘリ「Miー24」がミサイル攻撃を受け墜落。アゼルバイジャンはロシアに対し、誤った撃墜したと謝罪した。
・2020年11月8日、アゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフの戦略的に重要な町、シュシャをアルメニア軍から奪取。
・2020年11月、中東の過激派勢力2,000人が紛争に加わったと伝えられている。アルメニアはアゼルバイジャンの同盟国、トルコが関与したと非難。
・2020年10月28日、アゼルバイジャンのバルダ県への空爆(クラスター爆弾)で民間人21人が死亡。
・2020年10月25日、アメリカの仲介による停戦合意が破綻。戦闘再開。
・2020年10月25日、アメリカの仲介でアルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意。
・ロシアのプーチン大統領によると、9月末からの戦闘で少なくとも5,000人が死亡。.
・2020年10月17日。10月9日の停戦合意は破綻し、民間人13人が死亡、40人以上が負傷した。
・約4,400平方キロメートルの山岳地帯。
・キリスト教のアルメニア人とイスラム教徒のトルコ人が生活していた。
・ソビエト連邦時代、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの自治区に加えられた。
・公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている。
・現在、ナゴルノ・カラバフは分離主義勢力(自称当局)に占領されている。
・ナゴルノ・カラバフの大統領(自称)はアライク・ハルチュニヤン。
・自称当局は、アルメニアを含む全ての国連加盟国に認められていない。
・1988年から1994年の紛争で約3万人が死亡、推定100万人が避難を余儀なくされた。
・1994年の停戦合意後も膠着状態は続いていた。
・アルメニアは分離主義勢力(自称当局)を認めていない。
・アゼルバイジャンは「分離主義勢力=アルメニア軍」と認識している。
・トルコはアゼルバイジャンを積極的に支援している。
・ロシアはアルメニアに軍事基地を持っている。