16日、トルコ議会はアゼルバイジャンとアルメニアの和平協定を監視する平和維持軍派遣を承認した。
レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領率いるトルコ軍は同盟国のアゼルバイジャンに派遣され、平和維持活動を行うことになる。
派遣期間は1年。ロシアとトルコの合同監視センターから停戦違反の有無を監視する。
アルメニアはウラジミール・プーチン大統領の圧力に屈し、事実上の敗北宣言に合意せざるを得なかった。
エルドアン大統領は派遣される軍隊の規模、兵士の数などの情報を明らかにしていない。なお、地元メディアによると、可決された法は軍人以外も平和維持活動に加わる可能性を示しているという。
先週、ロシアとトルコの国防相は合同監視センター設置の覚書に署名したが、任務の詳細についてはまだ検討中だという。
アゼルバイジャン政府は、同盟国トルコの停戦監視任務への参加を強く求めていた。
一方、ロシア当局はトルコ軍について、「任務は合同監視センターの仕事に限定され、ナゴルノ・カラバフに入ることはない」と述べている。
ロシアのセルゲイ・ラゴロフ外相は声明の中で、「無人航空機やその他の手段を使用して、違反行為に目を光らせる」と語った。
トルコの関与
今回の委任統治で中東とアフリカにおけるトルコの軍事関与エリアはさらに拡大した。
中東の大国としての役割を果たそうとするトルコは、クルド人の過激派組織と戦うイラクとシリアに軍隊を派遣し、リビア内戦ではトリポリに本拠を置く暫定政府に力を与えている。
トルコはカタール、ソマリア、キプロス、アフガニスタン、レバノン、バルカン半島などにも平和維持軍を送り込んでいる。
アゼルバイジャンへの軍派遣動議は、議会の5党のうち4党から支持された。
エルドアン首相は、「この地域の平和と福祉はトルコの国益にとって極めて重要である」と述べた。
16日、ロシアのプーチン大統領は声明の中で、「アゼルバイジャンの要請に応じ、トルコと共に停戦の監視を行う」と発表した。
ウラジミール・プーチン大統領:
「私たちはシリアやトルコの国境付近などでも協力してパトロールを行っている」
「アゼルバイジャンとアルメニアはシリアのような監視を必要としないが、無人航空機を使用して合同監視センターから現地の状況を監視する」
ロシアの平和維持軍はナゴルノ・カラバフとその周辺に展開されており、1,960人が5年間の治安維持活動を行う予定である。
和平協定(11月10日01:00発効)
・アゼルバイジャンは、紛争中に奪取したナゴルノ・カラバフの一部地域を保持。
・アルメニアは今後数週間の間に、ナゴルノ・カラバフのいくつかの地域から撤退する。
・ロシアの平和維持軍1,960人を最前線に配備し、違法行為を防ぐ。
・トルコの平和維持軍も監視プロセスに加わる。
・ナゴルノ・カラバフの「解放エリア」にロシアとトルコの統制センターを設置する。
ナゴルノ・カラバフについて知っておくべきこと
・2020年11月16日、アルメニアのゾラブ・ムナサカニャン外相、辞任。
・2020年11月11日、アルメニア市民がアゼルバイジャンとの和平協定に抗議。国会を占領し、首相の辞任を求めた。
・2020年11月9日、アルメニア、アゼルバイジャン、ロシアがナゴルノ・カラバフの紛争を終結させる和平協定に調印。
・2020年11月9日、アゼルバイジャンの領土であるナヒチェヴァン自治共和国付近を飛行していたロシアの軍用ヘリ「Miー24」がミサイル攻撃を受け墜落。アゼルバイジャンはロシアに対し、誤った撃墜したと謝罪した。
・2020年11月8日、アゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフの戦略的に重要な町、シュシャをアルメニア軍から奪取。
・2020年11月、中東の過激派勢力2,000人が紛争に加わったと伝えられている。アルメニアはアゼルバイジャンの同盟国、トルコが関与したと非難。
・2020年10月28日、アゼルバイジャンのバルダ県への空爆(クラスター爆弾)で民間人21人が死亡。
・2020年10月25日、アメリカの仲介による停戦合意が破綻。戦闘再開。
・2020年10月25日、アメリカの仲介でアルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意。
・ロシアのプーチン大統領によると、9月末からの戦闘で少なくとも5,000人が死亡。.
・2020年10月17日。10月9日の停戦合意は破綻し、民間人13人が死亡、40人以上が負傷した。
・約4,400平方キロメートルの山岳地帯。
・キリスト教のアルメニア人とイスラム教徒のトルコ人が生活していた。
・ソビエト連邦時代、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの自治区に加えられた。
・公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている。
・現在、ナゴルノ・カラバフは分離主義勢力(自称当局)に占領されている。
・ナゴルノ・カラバフの大統領(自称)はアライク・ハルチュニヤン。
・自称当局は、アルメニアを含む全ての国連加盟国に認められていない。
・1988年から1994年の紛争で約3万人が死亡、推定100万人が避難を余儀なくされた。
・1994年の停戦合意後も膠着状態は続いていた。
・アルメニアは分離主義勢力(自称当局)を認めていない。
・アゼルバイジャンは「分離主義勢力=アルメニア軍」と認識している。
・トルコはアゼルバイジャンを積極的に支援している。
・ロシアはアルメニアに軍事基地を持っている。