2020年10月28日 ロイター通信/アゼルバイジャン、バルダ県、黒焦げになった車両

アゼルバイジャンはクラスター爆弾が投下されたと主張

アゼルバイジャン政府は、ナゴルノ・カラバフをめぐる戦闘に関連する空爆で同国のバルダ県が破壊され、少なくとも民間人21人が死亡したと発表、アルメニアを非難した。

伝えられるところによると、紛争地からそう遠くないアゼルバイジャンのバルダ県への空爆で多くの死傷者がでたという。

アルメニア政府は空爆の実行を否定、アゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフの医療センターを破壊したと非難した。

ナゴルノ・カラバフをめぐる紛争は9月27日に勃発した。

同地域は公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、アルメニア人によって運営されている。

アゼルバイジャンの大統領報道官、ヒクメット・ハジエフ氏は声明の中で、「アルメニア軍はアゼルバイジャン中央部のバルダ県でクラスター爆弾を使用し、民間人を殺害した」と述べた。

SNSに投稿された画像には、道路に置かれた遺体袋、破損した通りや車両が写っていた。

ある男性はBBCニュースの取材に対し、「すぐ近くを車両で通りかかった時に3回爆発音を聞いた」と述べた。

地元住民と思われる男性:
「私たちは火事を見た。爆弾が投下された」

「ひとつは銀行の外の車に落ち、爆弾の破片、ガラス片が散らばった。死者と負傷者がたくさんいた」

2020年10月28日 PHOTOLURE/ナゴルノ・カラバフ、ステパナケルト、崩壊した医療センターの様子

アゼルバイジャンの内務省によると、バルダ県に派遣された警察官などが負傷者の移送や治安維持にあたっているという。

また同省はクラスター爆弾(オスロ条約により使用を禁じられている)の使用について、「この攻撃は国際人道法違反であり、アルメニア政府は今すぐ責任を受け入れなければならない」と主張した。

これに対しナゴルノ・カラバフの当局者も声明を発表。アゼルバイジャン軍が同地域の都市、ステパナケルトの医療センターやその他の市民インフラを襲ったとコメントしている。

一連の攻撃はアメリカの仲介による停戦合意(10月25日に合意、即日破綻)からわずか数日後に発生した。

先日、アゼルバイジャンの地元メディアは、ナゴルノ・カラバフ軍の長、ジャラル・ハルティニャン氏が27日の特別作戦で殺害されたと報じている。

アゼルバイジャン国防省はハルティニャン氏殺害について、「ナゴルノ・カラバフで戦争犯罪を犯した男は、ドローン攻撃で死亡した」と述べた。

トルコが供給したドローンとロケットシステムはアゼルバイジャン軍に力を与え、アルメニア軍の時代遅れの旧ソビエト連邦製武器を打ち負かしている。

ナゴルノ・カラバフについて知っておくべきこと

・2020年10月25日、アメリカの仲介による停戦合意が破綻。戦闘再開。

2020年10月25日、アメリカの仲介でアルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意

ロシアのプーチン大統領によると、9月末からの戦闘で少なくとも5,000人が死亡。.

2020年10月17日。10月9日の停戦合意は破綻し、民間人13人が死亡、40人以上が負傷した。

・約4,400平方キロメートルの山岳地帯。

・キリスト教のアルメニア人とイスラム教徒のトルコ人が生活していた。

・ソビエト連邦時代、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの自治区に加えられた。

公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている

・現在、ナゴルノ・カラバフは分離主義勢力(自称当局)に占領されている。

自称当局は、アルメニアを含む全ての国連加盟国に認められていない

・1988年から1994年の紛争で約3万人が死亡、推定100万人が避難を余儀なくされた。

・1994年の停戦合意後も膠着状態は続いていた。

・アルメニアは分離主義勢力(自称当局)を認めていない。

・アゼルバイジャンは「分離主義勢力=アルメニア軍」と認識している。

・トルコはアゼルバイジャンを積極的に支援している。

・ロシアはアルメニアに軍事基地を持っている。

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