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▽首都ポルトープランスの燃料ターミナルを運営する会社と団体は先週、フィゼメ首相に書簡を送り、各地への燃料輸送が難しくなると伝えた。
2022年11月8日/ハイチ、首都ポルトープランスの燃料ターミナル、周囲を警戒する警察官(Odelyn Joseph/AP通信)

中米ハイチの燃料ターミナルが機能不全に陥り、ガソリンの輸送がストップする恐れがある。現地メディアが19日に報じた。

それによると、首都ポルトープランスのターミナルを運営する会社と団体は先週、フィゼメ(Alix Didier Fils-Aimé)首相に書簡を送り、各地への燃料輸送が難しくなると伝えたという。

この書簡がSNSに流出し、騒ぎになっている。

業界関係者や主要石油会社によると、ポルトープランスにある複数の燃料ターミナルは全て政府の管理下にあるものの、そこに通じる道はギャングに支配され、ガソリンを輸送する際、通行料を支払う必要があるという。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

一連の暴力とギャング間抗争により100万人以上が住居を失い、その多くが避難所に身を寄せている。

米国務省は今月初め、ヴィヴ・アンサムとグラン・グリフを「外国テロ組織」および「国際テロリスト」に指定。両組織に協力した個人や団体も制裁の対象となる。

石油タンクローリーの運転手をしていたという男性はAP通信の取材に対し、「会社はギャングに通行料を支払って市内にガソリンを届けていたが、米国の制裁で難しくなった」と語った。

地元メディアによると、ヴィヴ・アンサムは米国務省の指定発表後、通行料を倍増させ、「支払わない者はその場で処刑する」と脅したという。

米国の指定後、多くの運転手が仕事を辞めた。その結果、ターミナルから各地に燃料を届けることが難しくなった。

国家警察とケニアが率いる国連支援ミッションはポルトープランスの幹線道路などを奪還すべく、ギャングの取り締まりを続けているが、事態が改善する見通しは立っていない。

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