◎首都コロンボではラジャパクサ大統領の辞任を求める抗議デモが続いている。
スリランカ大統領の弟でバシル・ラジャパクサ(Basil Rajapaksa)前財務相は9日、辞表を提出したと明らかにした。
バシル氏は記者会見の中で「議員辞職する」と語ったが、同国を苦境に追い込んだのは自分ではないと主張した。「私たちが政権を取る以前から、この国は危機に瀕していました。私たちは全力を尽くしたのです」
バシル氏はこの国を支配する政治一族の一員であり、昨年7月から4月まで財務相を務め、経済危機を解決できなかったことを理由に辞任した。
バシル氏は記者団に対し、「経済危機の責任は歴代政権にある」と語った。「独立からスリランカを統治してきた歴代政権は危機を回避する措置を取らず、融資を湯水のように使ったのです。これは非難に値します」
スリランカは破産寸前の状態で、500億ドルにのぼる対外債務のうち70億ドル近くを年内に返済しなければならない。しかし、外貨準備は底をつき、債務不履行に陥っている。
国民は食料、調理用ガス、燃料、医薬品などの深刻な不足に悩まされている。コロンボの食料品店やガソリンスタンドには連日長蛇の列ができている。
地元メディアはバシル氏の議員辞職を称賛し、SNSには「当然」「遅い」「無能」「資産没収」などといった投稿が多数寄せられている。
首都コロンボではラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領の辞任を求める抗議デモが続いている。
この抗議デモは、平和的なデモ参加者を親ラジャパクサ派が襲撃するという凄惨な事件に発展し、もうひとりの権力者マヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)前首相を先月辞任に追いやった。他の兄弟も閣僚を辞任したが、議員辞職はしていない。
マヒンダ氏は2005年から2015年まで大統領を務めている。
バシル氏は、「現在の政府には関わらないが、政治的な仕事は続ける」と宣言した。
マヒンダ氏の後任であるウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は現在、国際通貨基金(IMF)と救済策について協議している。