エクアドルの死者数(公式)は18日時点で403人、しかし・・・

18日時点のエクアドル国内での死者数(公式)は403人と報告されている。しかし、4月に入ってから2週間の間に、グアヤス州だけで約6,700人が亡くなっており、国内の惨状が正確に把握されていないことは明らかである。

6,700人全員がコロナウイルスにより死亡したとは考えにくい。基礎疾患が原因の方もおられるだろう。なお、グアヤス州の1カ月当たりの平均死者数は約1,000人ほど。4月の死者数は明らかに平均値を上回っており、コロナウイルスの関連を疑わない方がおかしい。

グアヤス州のグアヤキル(首都)は国内最大の都市、現時点で最も多くのコロナウイルス感染者、死者が報告されている。街は混沌としており、ひどい地域になると、自宅に数日間遺体を保管しなければならない状態だという。

グアヤキルの住民は、政府がコロナウイルス対策に失敗したことを理解し、完全に行き場を失っている。シートに包まれた遺体を子供たちが遊び道具と勘違いし引っ張る姿も撮影されており、首都とは思えない惨憺たる状態に陥っている。

政府は先週、グアヤキルの住民に数千の「段ボール棺(ひつぎ)」を配布。これは、自宅から遺体を移送しなければならない人のために準備されたものである。また同時に、専用のコールセンターも設置された。

遺体処理のために編成された警察部隊の責任者は、今週初めだけで771人の遺体を住民の自宅から移送したと述べた。政府の統計によると、3月にコロナウイルスの感染が確認されて以降、グアヤス州だけで14,561人が亡くなっている。なお、医療システムは既に崩壊しており、死因を調べることすらままならない状態だという。

ラテンアメリカでは、コロナウイルスを「金持ちの病」と呼んでいる。海外を旅行してきた裕福な者が感染する病と認識されており、エクアドル国内で最初に感染が確認されたケースも、スペイン旅行から帰国した女性だった。

他国、他州、他の町や村からウイルスが「持ち込まれる」ケースは、世界中で数えきれないほど報告されている。エクアドルのケースも決して珍しいものではない。しかし、医療体制の脆弱な発展途上国、貧困地域などにコロナウィルスが持ち込まれれば、壊滅的な被害を招きかねない。事実、グアヤス州(グアヤキル)の住民は、手の施しようがない状況に追い詰められている。

政府は厳格なロックダウンを発動したが、グアヤス州の貧困地域の住民はこれを受け入れることができず、被害を拡大させた。しかし、貧困地域に住む者たちは、理由もなく社会的距離を確保しなかったわけではない。彼らはロックダウンを無視してでも働かねばならない。さもなくば、飢える

ブラジルもパンデミックに対処できず

15日時点のブラジルの感染者数は約28,000人、1,736人の死亡が確認されているが、政府の発表する数字は当てにならないという。ただし、意図的に数字を操作しているわけではなく、政府も全容を把握しきれていないためだ。

ブラジルでは、100万人あたり300人弱がコロナウイルス検査を受けている。アメリカであれば100万人あたり9,482人。検査体制が確立されていないことは明らかだ。しかし、政府もただ手をこまねいているわけではない。

世界中が検査キットおよびそれに関連する医療物資の確保に苦労している。ブラジルも同様、予算を準備し人員を補充しても、肝心の検査キットがなければ話にならない。

サンパウロ大学ダスクリニカス病院のカロライナ・ラザリ博士は、「現在、国内の病院に入院した重症患者のみ検査を行っている。コロナウイルスがどのような経路で、どのエリアに蔓延しているかは全く分からない状況」と述べた。

ボルソナロ大統領がコロナウイルスを軽視し、世界中からバッシングを受けた(今も受けている)ことは記憶に新しい。国のトップが適当な対応を取り、積極的に対策・処置を取らなかった結果、パンデミックに至った。

ブラジルの研究者グループが症例数、感染地域等の情報をもとに現在の感染者数をシミュレーションした結果、313,000人が「既に感染している」という結果が出たという。ブラジルの貧困地域で暮らす住民は約1,300万人(推計)。水や石鹸、マスクもアルコール消毒液もないエリアでパンデミックが発生すれば、壊滅的な被害が出ること火を見るよりも明らかであろう。

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