コンテンプト・オブ・コート 3-3
アンカレッジ連邦地方裁判所。
法廷。
傍聴席には多くの市民が残っている。
法廷の前方には、三人の裁判官が並んでいた。
中央に座るのは、裁判長マリベル・ヴァレンタイン。
その左右に、陪席裁判官のロバート・ヘイズとデイビッド・モーガンが座っている。
市長殺害という重大事件のため、三人の裁判官による合議体で審理が行われていた。
検察側にはアトキンソン州検事。
被告人席にはカーター。
弁護人席にはマイクが座っている。
ローリーは傍聴席にいた。
マリベルが書類を確認する。
「それでは、公判を再開します」
法廷内が静かになる。
マイクが立ち上がった。
「裁判長、ひとついいですか?」
マリベルが顔を上げる。
「なんですか?」
「裁判官を交代してください」
傍聴席がざわついた。
ヘイズとモーガンがマイクを見る。
マリベルは表情を変えない。
「遅刻しておいて、最初に言うことがそれですか?」
「はい」
「理由は?」
マイクは答える。
「裁判官の忌避を申し立てます」
アトキンソンが眉をひそめる。
ヘイズが椅子の背にもたれる。
モーガンは黙ってマイクを見ていた。
マリベルが口を開く。
「まずは理由の説明を。不当な理由の場合は、弁護人を処分することになります」
マイクは黙っている。
マリベルが続けた。
「前に来て詳細を説明してください。検事も確認してください」
「分かりました」
マイクが弁護人席を離れる。
法廷の前方へ歩いていく。
ローリーがその背中を見る。
マイクはマリベルの前で止まった。
そして、三人の裁判官を見る。
最初にマリベル。
次にヘイズ。
最後にモーガン。
「この中に、裁判の品位を汚し、裁判所の威信を傷つけている者がいます」
法廷内が静まる。
ヘイズが眉をひそめた。
「私のことか?」
マイクは答えない。
モーガンもマイクを見る。
「誰のことを言っている?」
マイクはポケットからスマートフォンを取り出した。
画面を操作する。
そして、マリベルへ差し出した。
「これを見てください」
マリベルがスマートフォンを受け取る。
画面には、防犯カメラで撮影された映像が映っていた。
マリベルの表情が変わる。
アトキンソンが立ち上がる。
「何の映像ですか?」
「防犯カメラの映像です」
マイクは答えた。
「確認すれば分かります」
マリベルは画面を見続けている。
ヘイズが身を乗り出す。
「裁判長、何を見ているんです?」
マリベルは答えなかった。
モーガンも画面を見ようとする。
マイクはその様子を見ながら、静かに言った。
「この映像に、忌避の理由があります」
アトキンソンがマイクを見る。
「その映像だけで裁判官の忌避を申し立てるつもりですか?」
「そうです」
「理由を明確にしてください」
マイクは三人の裁判官を見た。
「すぐに分かります」
法廷内に再び沈黙が落ちた。
マリベルはスマートフォンの画面から目を離さなかった。
