コンテンプト・オブ・コート 2-36
アンカレッジ市内のバー。
店内では、まだ殴り合いが続いていた。
だが、男たちの数は減っていた。
床には数人の男が倒れている。
エイダンは息を整えながら周囲を見る。
「あと何人だ?」
マイクが答える。
「三人」
「ジョニーは?」
マイクが店の奥を見る。
カウンターの横にジョニーがいた。
その前には二人の男が立っている。
マイクが拳を握った。
「俺が行く」
エイダンがマイクを見る。
「ローリーを頼む」
マイクが振り返る。
「分かった」
マイクは壁際へ向かった。
「ローリー!」
「マイク!」
「立てるか?」
「大丈夫」
マイクが手を差し出す。
ローリーはその手を取って立ち上がった。
「エイダンは?」
「ジョニーをやる」
ローリーが店の奥を見る。
エイダンがジョニーの前へ歩いていく。
ジョニーが笑った。
「今度はお前か」
エイダンは答えない。
「さっき、小指一本で十分って言ったな」
ジョニーの表情が変わる。
「まだ覚えてたか」
「忘れるわけないだろ」
ジョニーが拳を握る。
「やってみろ」
エイダンが前へ出る。
その一方で、マイクはローリーを連れて出口へ向かっていた。
「早く」
「エイダンは大丈夫なの?」
「大丈夫だ」
「でも――」
「信じろ」
ローリーは一度、後ろを振り返った。
エイダンとジョニーが向かい合っている。
ジョニーが先に動いた。
拳が飛ぶ。
エイダンは身をかわした。
ジョニーの腕をつかみ、体勢を崩す。
ジョニーが振りほどく。
「しつこい奴だな」
「お互い様だ」
ジョニーが再び踏み込む。
エイダンは拳を受け流した。
そのままジョニーの肩をつかみ、カウンターへ押しつける。
ジョニーが肘を振る。
エイダンは腕で受けた。
「まだやるか?」
「当然だ」
ジョニーが振り返る。
その拳がエイダンの頬をかすめた。
エイダンは一歩下がった。
そして、すぐに踏み込む。
拳がジョニーの腹に入る。
ジョニーの体が折れる。
エイダンが腕をつかんだ。
「終わりだ」
ジョニーを床へ押さえつける。
ジョニーが抵抗する。
だが、エイダンはびくともしない。
その間に、マイクとローリーは店の外へ出た。
冷たい風が吹いていた。
ローリーが振り返る。
「エイダンは?」
「すぐ来る」
店内から大きな物音が響いた。
マイクは入口を見る。
「まだ終わってないな」
「戻る?」
「いや」
マイクはローリーを見る。
「エイダンなら大丈夫だ」
数秒後、店の扉が開いた。
エイダンが出てきた。
「待たせたな」
「遅い」
「ジョニーがしぶとかった」
エイダンは周囲を確認した。
「車は?」
「裏だ」
三人は建物の裏手へ向かった。
ローリーがマイクを見る。
「頭、大丈夫?」
「これくらいなら問題ない」
「血が出てるけど」
「少し切れただけだ」
エイダンが振り返る。
「話は車に乗ってからにしろ」
三人は駐車場へ向かった。
エイダンが運転席のドアを開ける。
マイクが助手席に乗り込む。
ローリーが後部座席に座った。
エンジンがかかる。
車が走り出した。
バーの中では、何人もの男が床に倒れていた。
ジョニーは床に座ったまま、遠ざかる車を見ていた。
マイクたちの車は交差点を曲がり、視界から消えた。
ジョニーは拳を握った。
「……マイク・ハンター」
車内では、ローリーが前の席を見ていた。
「一つ聞いていい?」
マイクが答える。
「何だ?」
「どうして私を助けに来たの?」
マイクは前を向いたまま答えた。
「君は俺のパートナーだからだ」
ローリーは黙った。
エイダンは何も言わず、車を走らせた。
