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SNSが奪うライブの「初見」の衝撃、公演直後に拡散するネタバレ、ファンはどう向き合うか

SNSによるネタバレはライブ文化を変えつつあるが、「その場でしか起きない瞬間」まで消すことはできない。
ネタバレ注意のイメージ(Getty Images)

好きなアーティストのライブを何カ月も前から楽しみにしていたにもかかわらず、会場に行く前にセットリストやステージ演出、衣装、さらにはサプライズの内容まで知ってしまう。SNSの普及によって、こうした「ネタバレ」が大規模な音楽公演で珍しくなくなっている。

問題が目立ったのが、米歌手オリヴィア・ロドリゴ(Olivia Rodrigo)の「Unraveled」ツアーだ。先週始まったばかりのツアーにもかかわらず、初日の公演で披露された演出やサプライズが、ファンによって撮影され、短時間のうちにSNS上で細かく分析された。ハリー・スタイルズ、チャーリー・XCX、アリアナ・グランデらの公演でも、会場で撮影された映像が大量に共有されている。

一方、ネタバレを避けたいファンにとってSNSは厄介な存在となる。20歳のオーレリア・コリンズ(Aurelia Collins)さんは、好きなアーティストに関する動画が表示されないようアルゴリズムを操作し、「興味なし」を選択するなどして情報を避けている。それでもナイル・ホーランに関する情報を事前に見てしまい、16年間ファンだった本人の初ライブを前に落胆したという。ライブは単に音楽を聴く場ではなく、何が起こるか分からない瞬間まで含めて楽しむものだという考えである。

しかし、すべてのファンがネタバレを嫌っているわけではない。22歳のジョージア・マクアダム(Georgia McAdam)さんは、ステージの構成やセットリスト、見やすい場所を事前に知っておきたいタイプで、SNS上の映像を「予告編」のように捉えている。事前に情報を得ていても、実際の公演では予定外の出来事や別のサプライズ曲があるため、ライブそのものの興奮は失われないと考えている。

アーティスト側も対策を進めている。テイラー・スウィフトは「Eras Tour」で公演ごとに衣装やサプライズ曲を変え、サブリナ・カーペンターも曲中の演出やアウトロを変化させた。ジェイ・Zも現在のツアーでセットリストを変更している。毎回異なる演出を用意すれば、後から参加する観客にも予測できない瞬間を提供できるだけでなく、SNS上で新しい話題を生み続ける効果もある。

実際、TikTokで「#チャーリー・XCX」が付いた投稿は、同歌手が先月「Music, Fashion, Film」ツアーを開始して以降、40%以上増加したという。ライブの一場面は会場を出た瞬間に世界中へ拡散され、次の公演を待つファンにも届く構造になっている。

さらに歌手フィービー・ブリジャーズは、サプライズを守るため公演中のスマートフォン使用を禁止している。観客は入場時に携帯電話などの録画機器を専用ポーチに収納し、規則に違反すれば退場させられる。一方で、録画すること自体をライブ体験の一部と考えるファンもおり、全面的なスマホ禁止には反対意見もある。

ただ、セットリストや演出を事前に知ったとしても、ライブから驚きが完全になくなるわけではない。公演中の歌手の失敗や観客との偶然のやり取りなど、SNSで事前に予測できない出来事は残るからだ。SNSによるネタバレはライブ文化を変えつつあるが、「その場でしか起きない瞬間」まで消すことはできない。

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