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「味」から「食感」へ、世界で高まる需要、食品各社が「ザクザク・もちもち・とろとろ」を競う

食感への関心が急速に高まった背景には、SNSの影響もある。
グミキャンディーのイメージ(Getty Images)

食品や飲料の世界で、味だけでなく「食感」を重視する消費者が増えている。カリッとした歯応え、もちもちした弾力、とろりとした口当たり、口の中で弾ける感覚など、食べ物を口に入れた際の「質感や触感」が商品選択や満足度に影響するようになり、食品メーカーや外食企業は新たな食感を生み出す商品開発を加速させている。

米国の食品・飲料業界では、スターバックスが空気を含ませたアイスエスプレッソ「エアロカーノ(Aerocano)」を展開し、オランダ発の飲料チェーンダッチブロス・コーヒーもクリーム状のトッピングや、かむと果汁が弾けるパールなどを提供している。

菓子では、外側に小さなキャンディーをまとったグミや、凍結乾燥によってサクサクした食感にした菓子など、複数の食感を一つの商品に組み合わせる動きが広がっている。

この傾向は米国だけに限らない。食品原料大手イングレディオン(Ingredion)によると、中国では伸びるような食感のヨーグルトが人気を集め、スウェーデンの菓子メーカーは、カリッとした外側とマシュマロのような中心部を組み合わせた商品を発売している。

フランス・パリのベーカリーでは、クロワッサンとチョコレートチップクッキーを組み合わせ、外側のサクサク感と内部の溶けるような食感を同時に楽しむ菓子も登場している。

食感への関心が急速に高まった背景には、SNSの影響もある。10年前に注目されたクロワッサンとドーナツを組み合わせた「クロナッツ」や、複数の層を持つ「ドバイチョコレート」などが話題となり、さらに菓子を割った際の「パキッ」という音や、クリーム状の食品をすする音などを強調した動画が広がった。食品市場調査会社ミンテル(Mintel)は消費者が商品そのものだけでなく、それを食べる際の体験にも期待を持つようになったと説明している。

新型コロナウイルスの流行も一因とされる。感染によって一時的に嗅覚や味覚を失った人が多かったことから、食品を楽しむ際に食感がより意識されるようになったとの見方がある。

菓子メーカーのフェラーラ(Ferrara)は2020年に「Nerds Gummy Clusters(ナーズ・グミクラスター)」を発売。柔らかなグミと硬く砕けるキャンディーを組み合わせ大ヒットした。その後も液体の中心部を加えた商品など、食感の層を増やす開発が続いている。

一方、食感へのこだわりは食品メーカーに技術的な課題も突きつけている。宅配サービスが普及したことで、店舗ではカリッとしていたフライドポテトや揚げ物が、消費者の手元に届くまでに柔らかくなる問題が生じるためだ。イングレディオンは、ジャガイモ由来のでんぷんを使ったコーティングによってフライドポテトの食感を約30分維持する技術を開発し、さらに45分まで延ばすことを目指している。

健康志向との両立も課題となる。糖分を減らしたヨーグルトなどでは、原料を変更しても従来のクリーミーな食感を維持する必要がある。価格を抑えながら品質を保つ場合も同じで、食品メーカーには味や栄養成分だけでなく、食感まで含めて商品設計を行うことが求められている。

さらに、消費者が食感を求めているにもかかわらず、その特徴を商品パッケージで十分に伝えられていないという問題もある。ミンテルによると、2026年に米国で発売された包装食品の59%には、食感に関する表示がなかったという。

今後の食品開発では、単に「おいしい」商品を作るだけでなく、カリカリ、もちもち、とろとろといった口当たりそのものを商品価値として明確に示すことが重要になりそうだ。

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