詰め込み勉強は短期的には有効でも記憶が続かず、専門家が教える効率的な学習法
専門家が推奨する方法の一つが「検索練習」である。
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試験前になると、教科書を読み返したり、ノートを何度も見直したり、重要な部分にマーカーを引いたりする勉強法に頼る学生は多い。だが、こうした方法は試験直前の短期的な対策には役立つ場合がある一方、学習内容を長期間記憶する方法としては効果が高くないと、認知心理学の専門家が指摘している。
認知心理学者のプージャ・K・アガルワル氏(Dr. Pooja K. Agarwal)氏は、人は「簡単に感じる方法ほど覚えやすい」と考えがちだが、実際には逆だと説明する。読みながらノートを取ったり、文章を繰り返し読んだりするだけでは、内容を理解して記憶から取り出す作業が十分に行われないため、学習したという感覚だけが強まる可能性がある。
ソーシャルメディアなどでは、ガムをかむ、精油の香りをかぐ、音楽を聴くといった「勉強の裏技」も紹介されている。しかしアガルワル氏によると、こうした方法は気分を改善したり、眠気を抑えたりすることはあっても、学習そのものを向上させるとは限らない。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のロバート・ビョーク(Robert A. Bjork)教授も、ハイライトや下線、ノートの反復確認などを大量に行う学習は、時間を浪費する可能性があると指摘している。
専門家が推奨する方法の一つが「検索練習」である。これは教材を読み続けるのではなく、数ページ読んだところでいったん本を閉じ、何を覚えているかを自分で書き出す方法だ。記憶から情報を取り出そうとすることで、単なる再読よりも学習内容との結びつきを強められるという。
ワシントン大学セントルイス校のヘンリー・L・ローディガー3世(Henry L. Roediger III)教授も、書く、勉強仲間に説明する、頭の中で思い出すといった検索練習が学習に役立つとしている。ただし、資料を見て「知っている」と思うだけでは不十分で、実際に内容を頭の中から取り出すことが重要だという。
さらに、学習した内容について自分の理解度を振り返る「メタ認知」も有効だ。アガルワル氏は、これまで学んだことを一度すべて書き出す「ブレインダンプ」を行い、どこが難しかったのか、どの程度理解できたと思うのかを自問する方法を紹介している。
そして重要なのが、勉強を一度に集中させず、時間を空けて繰り返す「分散学習」である。例えば金曜日の試験に向けて木曜日に3時間詰め込むより、月、水、金にそれぞれ1時間ずつ勉強する方が、試験後も知識を保持しやすいとされる。詰め込みでも試験を乗り切れる場合はあるものの、長期的な記憶には分散して学ぶ方が適している。
また、忘れることを過度に避ける必要もない。学習した内容を一度忘れかけた後に再び思い出す過程そのものが、記憶を強化するためだ。専門家は、試験前に徹夜する方法についても勧めていない。睡眠は日中に形成された記憶の定着に関係しており、勉強時間を増やすために睡眠を削ることは、必ずしも学習効率の向上につながらない。
つまり、効率的な試験勉強では「長時間机に向かうこと」だけが重要なのではない。自分の記憶から積極的に情報を取り出し、間隔を空けて復習し、学習状況を振り返り、十分な睡眠を取ることが、短期的な試験対策と長期的な知識の定着を両立させる鍵となる。
