SNSで2016年がトレンドに、懐古の動きが急速に広がった理由
このトレンドは特に20代〜30代を中心に広がっており、インスタグラムやティックトック、X(旧ツイッター)などのプラットフォームで、2016年当時の写真や動画、ミームが大量に共有されている。
.jpg)
2026年に入り、SNS上で2016年への懐古の動きが急速に広がっている。ユーザーたちは10年前の写真を投稿し、当時流行した文化やフィルター、音楽、ファッションを振り返る投稿が世界的に拡散しており、「2026 is the new 2016(2026年は新しい2016年)」といったハッシュタグも登場している。
このトレンドは特に20代〜30代を中心に広がっており、インスタグラムやティックトック、X(旧ツイッター)などのプラットフォームで、2016年当時の写真や動画、ミームが大量に共有されている。ユーザーはスナップチャットの犬フィルター、セピア調のインスタ写真、ヒット曲などを通じて、当時の「軽やかさ」や「楽しさ」を振り返っている。
2016年は当時流行していた音楽アーティストやフェス文化、過度なメイクやファッションが象徴するように、「新しいものに満ちていた」時代と記憶されている。あるユーザーは、ビヨンセやドレイク、リアーナの曲がチャートを席巻していたことや、スナップチャット・ストーリーが日々の楽しみだったことを振り返り、「すべてが新しく、興味深く、楽しかった」と語っている。
この動きの背景には、単なる懐古趣味以上の心理的要因があると専門家は指摘する。2016年は社会的・政治的・技術的な大きな転換点の直前であり、その後に起きた出来事。ブレグジットやトランプ大統領の当選、2019年以降のパンデミックといった歴史的変化が、当時の「比較的無邪気で自由な時代」を相対的に輝かせているという。また、AIの急速な進化や情報過多によって現在のデジタル空間が複雑化する中、過去のシンプルで親密なネット体験への回帰願望が強まっているとも分析される。
心理学者はこの傾向を「ノスタルジア」と説明し、特に若年層が成長期の記憶を振り返ることで安心感やつながりを感じていると述べている。集団的な回顧行為はインターネットを通じて多くの共通体験を共有する現代社会において、特に強く働くという。また、過去の自分自身や仲間との思い出を再び反芻することで、現在の生活やアイデンティティとの接続を再確認する効果もあるとされる。
このトレンドは単なる過去の再評価に留まらず、現在のデジタル文化や社会情勢に対する反応とも解釈されている。2016年当時は、SNSが今ほどアルゴリズム主導ではなく、よりオーガニックな交流が中心だったと振り返られることが多い。そうしたユーザー主導のネット文化は、現代のAI生成コンテンツや過度な広告主導コンテンツが席巻する現在の状況と対比され、2016年への郷愁を強める一因となっているという見方もある。
こうした流れは懐古主義や「古き良き時代」の再評価という側面だけでなく、若い世代がデジタル文化の変遷と自らの成長、そして不確実な未来を見つめる一つの表現でもある。この10年の変化を振り返ることで、利用者は自分自身の変容やネット文化の進化を再認識している。
