メキシコで暴力による国内避難が深刻化、5年間で51万世帯、160万人が住居を追われる
今回の統計は、中央政府がこれまで具体的な数字を公表してこなかった国内避難問題について、全国規模で実態を示す初めての大きなデータとなる。
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メキシコで麻薬カルテルの暴力や治安悪化を背景とする国内避難の実態が25日、明らかになった。国立統計地理情報院(INEGI)が公表した新たな統計によると、2020年10月から2025年10月までの5年間に、暴力や犯罪への恐怖から国内の別の地域へ移動を余儀なくされた人がいる世帯は約51万世帯に上り、影響を受けた人は160万人に達した。
今回の統計は、中央政府がこれまで具体的な数字を公表してこなかった国内避難問題について、全国規模で実態を示す初めての大きなデータとなる。対象期間中に避難した人は、本人だけでなく家族など残された世帯員も含めて集計されているため、51万世帯という数字がそのまま51万人を意味するわけではない。
避難率が高かった州として、サカテカス、モレロス、ミチョアカン、ケレタロ、コリマなどが挙げられている。これらの地域では麻薬カルテルなどの犯罪組織による抗争や支配を背景に、住民が自宅や地域社会を離れる事例が続いてきた。メキシコでは2006年以降、政府による麻薬組織取り締まりを契機に各地で暴力が拡大し、長期的な国内避難につながっている。
ただし、今回の統計には2020年以前に避難した人は含まれていない。また、国外へ逃れた人も対象外となっている。さらに、暴力を恐れて当局に届け出ないまま移動する人や、状況が改善すれば元の住居に戻ることを想定して移転先を明らかにしない人もいるため、実際の数字は統計を上回る可能性がある。
国内避難者は住居を失うだけでなく、仕事や教育、医療、地域社会とのつながりも同時に失う場合がある。国際危機グループ(ICG)のメキシコ担当者はINEGIのデータについて、これまで見えにくかった問題を数値化する重要な一歩だと評価している。
一方、シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は今回の数字について、調査方法や質問内容などの詳細をINEGIに確認するよう関係閣僚に指示したと明らかにした。
今後は統計の精度を検証するとともに、国内避難者の住居、雇用、教育などをどう支援するかが課題となる。今回の調査は、メキシコの犯罪問題が殺人や逮捕者数だけでは捉えられない、住民の生活基盤そのものを変える問題であることを示している。
