◎カストロ家以外の者がキューバの指導者に就任するのは1959年のキューバ革命以来約60年振り。
キューバ通信社によると、キューバ共産党はラウル・カストロ第一書記(89歳)の後任にミゲル・ディアス=カネル大統領(60歳)を指名したという。カストロ書記長は4月16日に政界引退を発表していた。
2018年に大統領に就任したカネル氏は、カストロ時代を引き継ぐと以前から伝えられていた。カストロ家以外の者がキューバの指導者に就任するのは1959年のキューバ革命以来約60年振り。
カネル氏はカストロ兄弟の経済モデルを忠実に引き継ぐと期待されている。
カストロ書記長は16日から始まった党大会の演説で、「情熱と反帝国主義の精神に満ちた若い世代にリーダーシップを引き継ぐ」と述べた。カストロ書記長は2011年4月に故フィデル・カストロ議長から権力を引き継いだ。
カストロ兄弟はキューバ革命でフルヘンシオ・バティスタ将軍を打倒し、以来キューバを支配してきた。
キューバ革命後に生まれたカネル氏は、カストロ兄弟の忠実な同盟国兼擁護者のひとりである。同氏は20代前半でサンタクララの共産党連盟に加わり、政治家としてのキャリアをスタートさせた。
その後、カネル氏は2009年に高等教育大臣、2013年に副大統領に就任した。そして5年後の2018年、共産党は圧倒的賛成多数でカネル氏を大統領に選出した。以来、カネル大統領はカストロ兄弟の政治方針に基づき、北朝鮮、中国、ロシア、ボリビア、ベネズエラなどと良好な関係を維持してきた。
キューバ通信社によると、カネル氏はキューバの主権とカストロ兄弟の理想を守ると誓ったという。カネル氏は過去数十年で最も深刻な経済危機を乗り切らなければならない。
キューバの経済は昨年、コロナウイルスと米ドナルド・トランプ前大統領の厳しい経済制裁の影響で大打撃を受け、GDPは11%縮小した。
カネル氏は以前の演説で米ジョー・バイデン大統領の就任を歓迎し、「アメリカとキューバは他者の理想を尊重し、建設的な関係を構築できると信じている」と述べた。
カストロ書記長は16日の演説の中でアメリカとの関係を振り返っている。「私は相手を尊重し、敬意を表し、新しい関係を構築する意欲がありました」
しかし、ホワイトハウスは定例会見の中で、対キューバ政策はバイデン大統領の外交の最優先課題ではないと述べ、両国の関係が近いうちに改善される可能性は低いことを示した。