◎暫定大統領評議会は今年4月に設立され、次期首相と内閣を選ぶことを任務とし、混乱を鎮めると期待されていた。
ギャングの暴力に圧倒されている中米ハイチの暫定大統領評議会は24日、フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領が同評議会を「大馬鹿者ども」と呼んだことを批判した。
マクロン氏は今月初めにブラジルで開催されたG20サミットの中で、同評議会がコニーユ(Garry Conille)首相を突然解任し、フィスエイム(Alix Didier Fils-Aimé)氏を後任に指名したことを厳しく批判した。
同評議会は声明で、「マクロン大統領は暗い時代を生きているハイチ国民を侮辱した」と批判した。
現地メディアが報じた映像によると、マクロン氏は周囲の首脳に向けて、「彼らは大馬鹿者だ。とんでもない馬鹿どもだ。彼を解任すべきではなかった」と述べていた。
コニーユ氏は半年前に就任。同評議会が解任を一方的に決めたと非難し、同評議会にその権限はないとしている。
同評議会は声明の中で、「マクロン大統領はコニール氏を支持し、後任はダメだと宣言することで、我が国の内政に干渉した」と主張した。
ハイチ外務省は先週、マクロン氏の発言を受け、フランス大使を召還、抗議していた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは2年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は先月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
暫定大統領評議会は今年4月に設立され、次期首相と内閣を選ぶことを任務とし、混乱を鎮めると期待されていた。
しかし、評議会は複数の問題と内紛に悩まされ、コニーユ氏と対立。10月には捜査当局が評議会の委員3人を収賄罪で告発した。それによると、3人は国営信用金庫の取締役への天下りと75万ドル以上の金銭を要求したとみられる。