◎警察は今年6月、主要な大統領候補7人を反逆罪に相当する容疑で逮捕した。また、他の主要な野党指導者約20人も選挙に先立ち逮捕された。
2018年9月5日/ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領と妻のロサリオ・ムリーリョ副大統領(Alfredo Zuniga/AP通信)

ニカラグアの現地メディアによると、11月7日の大統領選挙と議会選挙は主要な野党候補が刑務所に送られたにもかかわらず予定通り始まったという。

独裁者のダニエル・オルテガ大統領は反抗的な野党候補をひとり残らず刑務所に送り、知名度の低い4人の立候補を許可した。

現地メディアによると、警察当局はオルテガ大統領の暴挙に抗議するデモ隊の指導者を投票開始数時間前に逮捕したという。

野党は6日遅くの声明で大統領選挙を「違法」と呼び、国民に自宅にとどまるよう促した。

オルテガ大統領は1985年から1990年まで政権を握り、2006年の大統領選挙で政界に復帰した。再選後は反米政策を推進し、ロシアと中国に接近したが、経済政策は全く機能せず、アメリカ大陸で最も貧しい国家のひとつから抜け出せずにいる。なお、妻のロサリオ・ムリーリョ氏は2018年から副大統領を務めており、オルテガ大統領は先日、妻を「共同大統領」と呼んだ。

警察は今年6月、主要な大統領候補7人を反逆罪に相当する容疑で逮捕した。また、他の主要な野党指導者約20人も選挙に先立ち逮捕された。

大統領選への立候補を許可されたのは、オルテガ大統領のサンディニスタ戦線(政党)を支持する小政党のよく知られていない政治家4人だけである。

一方、野党同盟の青白国民組合は、「警察は6日午後に少なくとも8人の活動家を拉致した」とソーシャルメディアに投稿し、他の野党関係者に注意を促した。

別の野党同盟シビック・アライアンスも警察から暴力、脅迫、監視、違法な恣意的拘禁を受けたと報告した。

オルテガ大統領は正午前に首都マナグアの投票所で投票し、記者団に、「国民は戦争やテロではなく、平和を支持しています」と語った。

またオルテガ大統領は、昨年の米大統領選挙は詐欺の疑いがあると突然主張し、1月6日にDC議会議事堂でデモを行った人々は拘束されたままであると述べた。

オルテガ大統領は2018年4月に発生した大規模な抗議デモを米国の支援を受ける反政府勢力のクーデターと呼んでいる。米州人権委員会によると、軍と警察はデモに参加した民間人を少なくとも325人殺害したという。

首都の中等学校で投票を行ったデニス・モンカダ外相は記者団に対し、「今日、国民はオルテガ司令官、ロサリオ(夫人)同志、そしてサンディニスタ戦線の議員に投票します」と述べた。

大統領選への立候補を許可されたギレルモ・オソルノ氏は投票所の記者団に、「勝利した場合、現在の違法な選挙制度を見直し、選挙監視員を許可する」と約束した。

一方、コスタリカではニカラグアから亡命した数百人がオルテガ大統領に抗議するデモを開き、選挙を「サーカス」と呼び、政治犯の釈放を要求した。9月に亡命したケビン・モンゾン氏はAP通信の取材に対し、「詐欺師のオルテガを追放してください」と訴えた。「ニカラグアの国民は3年前の抗議で虐殺された人々への正義を求めています...」

米国とEUはオルテガ大統領と一部の政府高官に制裁を科している。米国務省の高官は先週、AP通信に、「追加の制裁を検討する用意はできているが、ニカラグアの国民に影響を与える制裁は避ける」と述べた。

投票は午後6時に締め切られ、最初の暫定値は深夜頃に公表される予定と伝えられている。

国際NGOフリーダム・ハウスの南米カリブ海支部のジェラルド・バーシン氏は、「投票はオルテガの脚本通りに行われた」とソーシャルメディアに投稿した。

またバーシン氏は、「オルテガへの圧力を強めるためには、国際機関の融資停止を含む厳しい措置の導入が必要」と述べた。

フリーダム・ハウスは世界各国の公民権を監視している。バーシン氏によると、ニカラグアは過去15年間で最も基本的権利が悪化した国のひとつだという。

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