◎メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は10万人以上と推定されている。
メキシコのオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領が行方不明者の遺体を探すボランティアやメディア関係者を「ネクロフィリア(死体性愛、屍姦症の意)」と呼び、猛批判を浴びている。現地メディアが9日に報じた。
敵対勢力に罵声を浴びせることで知られるオブラドール氏は国営テレビが8日に放送した声明で行方不明者を探す家族や人権団体、メディアを罵った。
オブラドール氏は首都メキシコシティ郊外で今月初めに麻薬カルテルの秘密の火葬場が見つかったと報じたメディアやボランティアを「死姦を好む人々」と呼んだ。
メキシコシティでカルテルのものとみられる死体処理場が見つかったのは初めてである。
オブラドール氏はこの報道を否定し、「捜査当局は人骨を見つけておらず、全国各地でカルテルやギャングによる暴力が蔓延しているという報道はすべて、政府を攻撃しようという政治的動機に基づいている」と主張した。
オブラドール氏の口撃は10年以上前から行方不明者の捜索を行っているボランティア団体の女性リーダーに向けたものとみられている。
この女性は2人の息子の遺体を探し続けている。
同団体は先週、メキシコシティ郊外で複数の人骨を発見し、警察に通報。現在、捜査が進められている。
同団体の共同リーダーは8日遅くに公開された地元テレビ局のインタビューで、「国家元首が息子を探す母親を犯罪者のように扱うなんて、想像すらしていなかった」と断じた。
オブラドール政権はメキシコシティにカルテルの支配地域があるというボランティア団体やメディアの主張を否定している。
メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は10万人以上と推定されている。