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メキシコで記者への訴訟が急増、銃撃に加え司法手段による圧力も

メキシコでは銃撃という直接的な脅威だけでなく、訴訟や規制を通じて報道活動に影響を及ぼす問題も浮上しており、記者の安全と表現の自由をどう両立させるかが重要な課題となっている。
2026年9月17日/メキシコ、南東部カンペチェ州の市場(AP通信)

メキシコで、ジャーナリストや報道機関を相手取った訴訟が増えている。報道の自由を監視するNGO「アーティクル19(Article 19)」によると、2025年にメキシコで記者やメディアを対象として新たに提起された訴訟は69件に上った。前年の件数の3倍に相当し、従来から続いてきた記者への銃撃や殺害に加え、司法手続きが報道活動を制約する手段として使われるケースが目立っている。

象徴的な事例となっているのが、南東部カンペチェ州の独立系新聞「Tribuna」を巡る問題だ。同紙は約50年にわたり発行されてきたが、2024年に紙媒体の発行を停止し、現在はオンラインを中心に活動している。元編集責任者のホルヘ・ルイス・ゴンサレス(Jorge Luis González)氏は、レイダ・サンソレス(Layda Elena Sansores San Román)州知事を批判する記事などを掲載してきた一方、知事側から名誉毀損などを理由とする民事・刑事上の申し立てを受けた。

2025年半ばには、その刑事事件の一つを巡り、裁判所がゴンサレス氏に2年間のジャーナリスト活動禁止を命じ、さらに同紙の記事をオンライン公開する前に司法側が内容を確認する措置が取られた。報道の自由を監視する団体は事前検閲につながるとして問題視した。ゴンサレス氏は直ちに不服を申し立て、その後、最終判断まで措置を一時停止する判断が出ている。知事側は報道機関を迫害・検閲しているとの指摘を否定し、訴訟は女性を守るためのものだと説明している。

メキシコでは司法を通じた圧力が強まる一方、記者の殺害も深刻な問題となっている。ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、2026年には7人のジャーナリストが殺害され、そのうち5人は3カ月未満の期間に集中した。

また、政府が「視聴者の権利」を保護するためとして導入する新たな連邦規則にも、報道の自由を監視する団体から懸念が出ている。シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は出版物について、市民が苦情を申し立てる権利を強化するものだと説明しているが、反対派は国家が報道内容をめぐる紛争に介入する余地を広げる可能性を指摘している。

国連の表現の自由に関する特別報告者レオポルド・マルドナド(Leopoldo Maldonado Gutiérrez)氏は、偽情報やヘイトスピーチへの対策には正当な目的があり得るとしながらも、曖昧な法律によって政府や裁判所が「真実」を判断する立場になることには警戒を示している。

メキシコでは銃撃という直接的な脅威だけでなく、訴訟や規制を通じて報道活動に影響を及ぼす問題も浮上しており、記者の安全と表現の自由をどう両立させるかが重要な課題となっている。

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